著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「領域組み合わせ」で効果抜群!の国語授業の新提案
岡山大学大学院教育学研究科准教授浮田 真弓
2012/10/5 掲載
 今回は浮田真弓先生に、新刊『「領域組み合わせ」で言葉の力を育てる!小学校国語言語活動ベストモデル』について伺いました。

浮田 真弓うきだ まゆみ

岡山大学大学院教育学研究科准教授。光村図書小学校国語教科書編集委員。
筑波大学第二学群人間学類心理学主専攻卒業,筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。平成24年4月より現職。
著書に、『異文化コミュニケーション論』コレール社(家村睦夫と共編著2003年)、『バイリンガル・テキスト 現代日本の教育 〈制度と内容〉』東信堂(共著、2010年)、『国語科教育学はどうあるべきか』明治図書(共著、2010年)などがある。

―まず、聞き慣れない言葉「領域組み合わせ」って…何でしょうか?

 領域とは「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域のことを指します。これらを組み合わせて指導することです。って、それだけではわからないですよね(笑)。
 教科書のめあてを見てみると「読むこと」の教材であってもたいてい「読んで〜する」となっています。学習指導要領でも、領域を関連付けて指導することになっています。
 大人の言語生活を振り返ってみても、書くときにはインプットである読むことが欠かせないですし、話したり聞いたりする内容によって参考にする文章も変えているでしょう。「領域組み合わせ」の指導は、大人になってからも役立つ言葉の力をつけるための方法なのです。

―なぜ、今、「領域組み合わせ」なのでしょうか? 小学校の国語の授業を、「領域組み合わせ」にする利点を教えてください。

 領域組み合わせは、組み合わせる領域を決めることで、読むことの目的をはっきりさせることができるという利点があります。指導する点も明確になります。漫然と「しっかり」「深く」読ませることから、卒業できます。
 教材が増えて、授業の時間が足りないという声もよく聞きます。やってもやっても、教科書が終わらない…。でも、領域を組み合わせることで、「読むこと」の教材で「話すこと・聞くこと」や「書くこと」の指導も同時に行うことができます。詳しくは本書をご覧ください。

―各単元のモデルを執筆されている積志小学校は、どのような学校なのでしょうか?

 浜松市立積志小学校は、全国小学校国語教育研究大会の会場校になったことがきっかけで、若手からベテランまで、学校をあげて研修に熱心に取り組んでこられた結果、これだけの実践が蓄積されました。本書の事例は、実際の授業実践を報告したものです。
 この本の中には先生方の工夫とその結果…ワークシートや、子どもたちに示した言語活動の例、単元が進むにつれて成長していく掲示、子どもたちの声などがたくさん紹介されています。子どもたちだけでなく、先生方も楽しんで、国語の実践をしている学校です。

―最後に、読者の先生方に、メッセージをお願いします。

 「国語が苦手」という先生にこそ読んでいただきたい本です。はじめは、自分が指導している学年の実践を参考にしてみてください。その次に、領域を組み合わせる技を他学年の実践からも学んでください。最後には、小学校6年間の実践を通して読んで、言葉の力を育てるために各学年でどのような指導をしたらよいか、考えてみてください。
 理屈やスローガンから出発する国語教育ではなく、「子どもの実態と教材から出発する領域組み合わせの指導」で、先生にとっても国語を得意科目にしてください。

(構成:杉浦)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2012/10/5 19:09:50
    各教材で目標を領域のどれか一つに絞るという指導を受けました。
    領域組み合わせでは旧態の目標の取り方と変わらないではないでしょうか。
    どこが新しいのかよくわかりません。
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