- 著者インタビュー
- 生活・生徒・進路指導
臨床心理学は、心の問題や悩み、精神的不調を解決し、人々の生活がよりいっそう健康的なものになるために援助することを目的としています。そのために、心の仕組みや働き方を探り、心の健康を取り戻すための方法を研究し、それを実践しながら、より効果的なものに改善していく努力を日々続けています。
何らかの障がいのある子どもからストレスによって心の健康を損ねている大人まで、幅広く対象としています。
「思春期」という、子どもたちの成長過程のなかで特別な時期であることを念頭においてください。気持ちが不安定であったり、反抗的であるなど、大人からすれば厄介なことが多いのですが、子どもたちが“大人”になるために必要なことだと理解して相対してもらいたいと思います。具体的には、子どもたちを「よく見て」、「話に耳を傾け」、「気持ちを理解する」ことが重要です。そして、気持ちに寄り添った関わりをお願いします。
まずは中学校現場でご活躍の先生ご自身が、経験と照らし合わせながらお読みいただくことで、生徒理解を深めることができます。また、同僚と4コマまんがを話題にし、お互いの経験を話し合いながら、臨床心理の立場からの解説を確認して生徒指導力を高めることができます。ケース研究といえましょう。そして、教師を目指す方が教育実習前に理解を深めるためにも、そして、教員採用試験における面接対策などにもご活用いただけます。
起こっている出来事や状況のプラス面に気づく習慣を身につけることをおすすめします。例えば、保護者からのクレームを「自分が責められている」と思うのではなく、「保護者との対話ができるチャンス」と捉えれば気持ちも変わります。「ピンチはチャンス」という発想です。また、自分に合った気晴らし術を会得することも役立ちます。ショッピング、一人カラオケ、ジョギング、食べ歩き、音楽鑑賞、何でもかまいません。
心身ともに大きく変化する中学生の生徒指導はご苦労だらけだろうと思います。しかし、先生方の努力によって子どもたちが大きく成長することも事実です。まさに「人をつくる」崇高な仕事と言っても過言ではありません。
ただし、生徒指導にはここまでやったから十分だという目安がないので、ついつい張り切りすぎてしまうことがあります。適度なところで切り上げ、後は生徒の力を信じるということも“あり”だと思います。生徒指導には教師の心の余力も必要です。