著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
夏休み、今こそゼロベースで授業を学び直そう!
岐阜県公立小学校教諭長瀬 拓也
2014/7/15 掲載
 今回は長瀬拓也先生に、新刊『ゼロから学べる授業づくり―若い教師のための授業デザイン入門―』について伺いました。

長瀬 拓也ながせ たくや

 1981年岐阜県生まれ。岐阜県立中津高等学校、佛教大学教育学部教育学科卒業。横浜市立小学校教諭、岐阜県公立中学校教諭を経て、現在、岐阜県公立小学校教諭。専門は、学級組織論、教育方法学、社会科教育。高校生の時、中学校教員だった父親が白血病で他界し、教師になることを決意する。NPO法人授業づくりネットワーク理事、教育サークル「未来の扉」代表代行、クラス・マネジメント研究会代表、教師教育ネットワーク事務局長(代表:上條晴夫)。
 2004年に「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)新採・新人賞を受賞。主な著書に『新版 若い教師のための読書術』(学事出版)、『教師のための時間術』『誰でもうまくいく!普段の楽しい社会科授業のつくり方』(黎明書房)、『ゼロから学べる学級経営―若い教師のためのクラスづくり入門―』(明治図書)『THE 学級マネジメント』『学級経営・授業に生かす!教師のための「マネジメント」』(明治図書、編著)『THE 教師力〜若手教師編〜』(明治図書、共著)などがある。

―本書は、この春大好評だった『ゼロから学べる学級経営―若い教師のためのクラスづくり入門―』の続巻にあたるものです。第2弾として「授業づくり」をテーマにされたのはなぜですか。

 本当は仕事の仕方を書こうと思っていたんです。学級ときて次は授業という流れはよくあるパターンなので、仕事の仕方を書こうと…。でも、多くの若い先生に「次は授業を!」と言われました。そういえば、初任時代、授業で苦しんで苦しんで夏休みを迎えたことを思い出しました。そこで、『よし、初任時代の僕が「読みたい」と思うような本を書こう』と思って書きました。学級が安定するにはどうしても授業は外せませんから。ただ、授業づくりの入門書を書くのはまだ経験が浅い私にとってはとても苦しい仕事になりました。

―授業づくりをゼロから学ぶ、ということの意義はなんでしょうか。

 前述したように、ゼロから授業を学ぶ本を書くことはすっっっごく大変なことだと思っています。一流の人しか書けません。しかし、私は一流ではなく、いつも授業で困っています。そのため、どうしようかと考えました。
 そこで、新しく考えて書こうと…。それは、イチから、いや、ゼロから授業というものはどういうものかを見つめ直してみよう、若い先生と一緒になって考えて、私自身、初任者の気持ちになってゼロから学んで書いていこうと思ったのです。書いている本人が「ゼロから学ぶ」という意義を大切にしました。

―今回は、「授業のイメージを描く」というちょっとしたワークも入っているのですよね。自分自身の授業イメージを知っておくことは、なぜ授業づくりをするうえで効果的なのでしょうか。

 私は、今、子ども達が多様になり、従来の教え方を磨くだけでは不十分であるという仮定にたって実践に取り組んでいます。そのうえで、従来の教え方、または学び方の技術がある程度不十分でも対応できるようにするには、学習する組織=学級経営の考え方と具体的な指導を行うことが必要だと考え、若い先生向けの学級づくりの本を書いてきました。それが、第1弾ロケットです。
 しかし、それだけではうまくいきません。やはり、授業なんですよね。子ども達の学びを広め深めるために、学び方の多様性を授業でいかに実現できるかが第2弾ロケットだと言えます。「授業のイメージを描く」ワークを行うことで、学習の成立と成果を果たすための授業の位置づけを理解し、そのための多様な授業デザインとリフレクション(省察)を一緒に学びたいと思い、入れました。そうすることで、より広い視点で授業を考えられると思っています。

―本書後半では、一斉型授業と協同・ワークショップ型授業と、それぞれの授業づくりについて詳述いただいていますが、いずれの形態の授業においても若手の先生が大切にすべきことはなんでしょうか。

 「場に応じて」だと思います。思想や哲学も大切ですが、柔軟さも同時に大切です。型のために授業をするのではなく、子ども達のために授業の型を使うのです。そのことを忘れてはいけません。

―最後に、今まさに授業づくりに悩んでいる読者の先生方に向けて、メッセージをお願いいたします。

 楽しみましょう。
 大切なことは先生も子ども達もいきいきと学ぶことです。
 私自身「ぐったり」することはたくさんあります。でも、前向きに前向きにと言っています。
 ぜひ、一緒に楽しく学んでいきましょう。

(構成:林)
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