著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
全ての子どもと教師が安心して学ぶための学級・学校づくりをまるごと提言
上越教育大学教職大学院スタッフ
2014/7/16 掲載
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  • 教師力・仕事術

―本書はサブタイトルに「上越教育大学流 教師力アップの極意」とありますように、上越教育大学・教職大学院の先生方によるご提案です。上越教育大学の教職大学院はその教職就職率の高さもさることながら、現職教員の院生(現職院生)と学卒学生がともに学び、「学校支援プロジェクト」などでともに現場に入って取り組む大学院としても有名ですが、その特色について教えて下さい。

 第一は「学校支援プロジェクト」です。公立学校などと連携し、3ヶ月間チームで学校に入り、先生たちと協働して学校課題解決に取り組みます。現職院生52名、学卒院生56名(平成26年度)、このバランスのよさが第二の特色です。そして、第三の特色は17名の専任教員。多様な専門分野をもち、研究者教員も実務家教員も実践がわかり研究もできるという人たちです。このガイドブックでその雰囲気を味わってください。(第2章担当 瀬戸 健)

―今回、『学び続ける教師になるためのガイドブック』として提案された背景にある先生方の想いについて、教えて下さい。

 教師は教育の専門職として常に学び続けていなければ、社会の変化や子どもたち・保護者・地域の皆さんのニーズの変化に応えることができません。そこで,現場で活躍する教師の皆さんはもちろん、これから教師になろうとしている学生の皆さんの学びにも役立つ羅針盤となることを願って、本書を提案しました。(第6章担当 加藤哲則)

―全2巻のうち、「自ら学ぶ学級・学校づくり」をテーマとした本書は、どのようなねらいでまとめられたものでしょうか。

 自分のクラスのことだけでなく、学校を全体として組織的に捉えようとしているところに、本書の特色があります。同僚である教職員が知恵と力を出し合い、学校を広く見渡しながら、子ども達のために取り組んでいこう。それが、本書で私たち著者の言いたいことです。きっと、色々なものが見えて、視野が広がることと思います。(第8章担当 武嶋俊行)

―本書の中では「クラス会議」や「道徳授業における役割演技」「夢学活」など、様々な取り組みが紹介されています。どれも魅力あふれる提案ですが、これらに学校現場で取り組む際のポイントがあれば教えて下さい。

 困難を克服する際、指導方法という「武器」を持つことはとても心強いもの。その武器を使うとき、どんな場面で、どんな目的で使うかを意識できるようにしましょう。武器を生かすも殺すもあなた次第。「〜したいから、○を使う」という考えは、武器を「本物」にし、確かな効果を生むでしょう。(第3、4章担当 早川裕隆)

―タイトルに「学び続ける教師」とありますが、「自ら学ぶ学級・学校づくり」ができる教師になるためには、どんなことに留意して学べばいいのでしょうか。

 学級づくりや学校づくりの実践について意味付けを行うことをお勧めします。自分が行っている実践の目的や方策、成果と課題を文章にしてみること、その分野の理論と照らし合わせてみること、それらを通して、自分が目指す学級づくりや学校づくりがより明確になると思います。意味付けのヒントが本書からたくさん得られるはずです。(第5章担当 松井千鶴子)

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 OECDの調査結果によると、日本の先生は世界一多忙で、自分の指導に自信がありません。多忙を解消するには、「仕事を減らす」「教員を増やす」ことも必要ですが、「能力を高める」ことも大事。どの章でも読んでみてください。能力が高まり、自信がつき、多忙が解消に向かうこと請け合いです。(第9章担当 廣P裕一)

編者:赤坂 真二へんじゃ:あかさか しんじ

1965年、新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院准教授。19年間の公立小学校勤務の後、現職。学校心理士。アドラー心理学に基づくクラス会議、勇気づけを研究。主な著書に『スペシャリスト直伝! 学級を最高のチームにする極意』『赤坂真二―エピソードで語る教師力の極意』『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』『担任がしなければならない学級づくりの仕事12か月 小学校高学年』 (以上、明治図書)などがある。

編者:西川 純へんじゃ:にしかわ じゅん

1959年、東京都生まれ。上越教育大学教職大学院教授。博士(学校教育学)。臨床教科教育学会会長。『学び合い』(二重括弧の学び合い)を提唱。主な著書に『クラスが元気になる!「学び合い」スタートブック』『クラスがうまくいく! 『学び合い』ステップアップ』(以上、学陽書房)などがある。

執筆者:上越教育大学教職大学院スタッフしっぴつしゃ:じょうえつきょういくだいがくきょうしょくだいがくいんスタッフ

平成20年4月に教員養成に特化した専門職大学院としてスタート。地域と連携しながら学校課題の解決を実現する「学校支援プロジェクト」並びに、他に類を見ない協働力を育成することをねらった特徴的カリキュラムで注目を集める。

西川  純 上越教育大学教職大学院教授
赤坂 真二 上越教育大学教職大学院准教授
瀬戸  健 上越教育大学教職大学院教授
早川 裕隆 上越教育大学教職大学院教授
松井千鶴子 上越教育大学教職大学院准教授
加藤 哲則 上越教育大学教職大学院准教授
桐生  徹 上越教育大学教職大学院准教授
武嶋 俊行 上越教育大学教職大学院教授
廣瀬 裕一 上越教育大学教職大学院教授

(構成:及川)

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