著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
柔軟に前向きに受け止めれば、子どもは変わる
北海道公立中学校教諭千葉 孝司
2014/10/15 掲載
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  • 生活・生徒・進路指導
 今回は千葉孝司先生に、新刊『不登校指導入門』について伺いました。

千葉 孝司ちば こうじ

1970年北海道生まれ。公立中学校教諭。十勝ライフスキル教育研究会代表。いじめ防止や不登校に関する講演、執筆などに取り組む。カナダ発のいじめ防止運動ピンクシャツデーの普及にも努めている。『先生と親に贈るいじめ・不登校解決のメッセージ』『いじめは絶対ゆるさない―現場での対応から予防まで』(学事出版)など著書多数。

―本書は「THE教師力ハンドブック」シリーズの1冊として、テーマは「不登校指導」です。まず本書の特徴について教えて下さい。

 本書では、不登校の原因について、ほとんど触れていません。原因を考えることも大切ですが、原因を取り除いても再登校できなかったり、取り除くことが出来なかったりするのが不登校の現実です。マイナスを取り除くという発想ではなく、再登校のためのプラスを生み出そうという発想で書かれているのが特徴です。

―不登校については、解決までに時間がかかるものであり、その中で子どもや保護者の方、一人で問題を抱えて苦しんでいる担任の方も少なからずいらっしゃいます。先生はまえがきの中で「不登校をネガティブにとらえるのではなく、いかにポジティブにとらえられるか」と述べていらっしゃいますが、その点について教えて下さい。

 不登校を「登校するかしないか」という、オールオアナッシングでとらえると苦しくなってきます。そうではなく、成長の通過点、意味のあるものととらえ、子どもと良好な関係を築くことに主眼を置く。その結果、再登校に結びつくこともある。仮に再登校できなくても、子どもとの間に信頼の絆が結ぶことが出来れば、その教師は子どもにとってかけがえのない存在です。

―先生方が1番苦労されているのが、子どもとの関係づくりだと思います。子どもとのつながりをつくるポイントはどのようなものでしょうか?

 1番のポイントは決定権、選択権をしっかりと子どもに与えることです。子どもは無理に登校させられるのではないかという不安を持っています。それを解消し、自尊感情を高めるためにも、「自分で決めること」だよと伝えることが大切です。

―先生は本書の中で教師の「マインドセットを変える」ことがまず大切だと述べられています。それはなぜでしょうか?

 それは、教師のこうあるべきという固定観念が不登校指導のボトルネックになるからです。「常識」とされることが、大人も子どもも苦しめます。これまでの見方を捨てて、不登校の子どもを100%受け入れることが出発点です。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 不登校指導に唯一の正しい正解があるわけではありません。ただ本書では、これまでの成功した事例から効果的な指導のエッセンスを抽出しました。いわば秘伝のダシです。本書を参考にしていただきながら、子どもを温め勇気づけるオリジナルのスープを作っていただければと思います。その子に合った方策を考えることが、不登校指導の醍醐味です。

(構成:及川)

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