著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「学級経営ピラミッド」って何?
京都文教大学准教授大前 暁政
2015/2/10 掲載
 今回は大前暁政先生に、『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』について伺いました。

大前 暁政おおまえ あきまさ

 昭和52年生まれ。岡山県の公立小学校教諭を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)として赴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。著書に、『プロ教師の「折れない心」の秘密〜悩める教師への50のアドバイス〜』『プロ教師直伝! 授業成功のゴールデンルール』『プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK―』『スペシャリスト直伝!板書づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝!理科授業成功の極意』(以上、明治図書)、『必ず成功する!授業づくりスタートダッシュ』(学陽書房)、『NHKおじゃる丸 クイズでおじゃる 目指せ小学校クイズ王』(執筆協力、NHK出版)などがある。
著者HP:『大前暁政の教育』

―まず、本書のコンセプトについて教えてください。

 「学級経営における実践の集大成」
 それが本書のコンセプトです。学制以来の日本における学級経営実践と、世界の教育方法を参考に、現代に通用する形で、学級経営の理論と実践を示しました。

―「現代に通用する形」とは、具体的にどのようなことでしょうか。

 これからの学級経営の一つの重要なポイントが「自立」だと考えています。自立に導く学級経営が、どの教師もできなくてはならないと考えています。
 いきあたりばったりの学級経営では、到底子どもを自立には導くことができません。本書は、子どもを自立に導くという現代的課題にも対応した学級経営の理論と実践を紹介しています。

―「学級経営ピラミッド」について教えてください。

 「学級の成長構造」と、「学級経営の筋道」を両方示したものが、「学級経営ピラミッド」です。
 学級経営がうまくいっているかどうかには差があります。言い替えれば、学級の状態にはレベルの差があるのです。分かりやすいのは、「荒れている学級」と、「落ち着いている学級」です。
 ここ20年ほど荒れた学級が目立っていましたので、落ち着いていれば、よい学級経営と見なされることもありました。しかし、学級の状態には、もっともっと上のレベルがあるのです。
 落ち着いた学級がつくれるようになっただけで満足していてはいけません。さらにその先のレベルを知る必要があります。

―学級経営の本はたくさん出版されています。それらと比べて本書の特長は何でしょうか。

 戦前・戦後の学級経営を調べていくと、足りなかった点が見えてきます。
 例えば、次の点です。
「授業づくりと、学級経営を連動させて、相乗効果を狙うこと」
「自由な意思で自分の道を選択できる自立心を育てること」
「高い目標に向かって努力を続ける姿勢を育てること」
 また、これまでの本では、どちらかと言えば、学級経営は教師の管理の側から語られることが多くありました。
 それは当然、教師が学級を管理している主体だからです。しかし、子どもの自立を促すには、子どもが学級経営に参画するといった視点も必要になってきます。
 今回の書籍では、上に示したようなこれまでの学級経営ではやや弱かった点に応えることのできる理論と実践を示しました。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 「なぜ、学級は荒れるのでしょうか。」
 「なぜ、教師によって、1年後の学級の状態が違うのでしょうか。」
 「自分が担任していたときは落ち着いていた子どもが、次の年に担任が替わると荒れることがあるのはなぜでしょうか。」
 本書『子どもを自立に導く学級経営ピラミッド』は、こういった疑問に一つの答えを示した、学級経営の集大成と言える書です。
 そして、すでに発刊されている『プロ教師直伝!授業成功のゴールデンルール』が、授業技術・方法の集大成と言える書です。
 是非、2冊を座右に備えて、学級経営も授業も充実させてほしいと願っています。

(構成:及川)

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