著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
熱意だけでクラスはまわせない!
〜教師は誠実でなくていいので結果を出すことが大切〜
山口県岩国市立平田小学校教諭中村 健一
2015/3/13 掲載
今回は中村健一先生に、新刊『策略−ブラック学級づくり 子どもの心を奪う!クラス担任術』について伺いました。

中村 健一なかむら けんいち

1970年,父・奉文,母・なつ枝の長男として生まれる。
名前の由来は,健康第一。名前負けして胃腸が弱い。酒税における高額納税者である。
キャッチコピーは「日本一のお笑い教師」。「笑い」と「フォロー」をいかした教育実践を行っているが、本書でその真の姿、「腹黒」をカミングアウト。

―「ブラックユーモア」「ブラック企業」…最近は「ピザブラック」まで!どれも邪悪なイメージがありますが、中村先生はそんなブラックな先生なのですかっ?

なはは。私は邪悪な男ではないですよ。ただ、若手教師を見ていて、「腹黒さ」が足りないと思うのは事実です。教師はみんな誠実なんですけどね。誠実さだけでは、厳しい現場は生き抜けない。
野球に喩えるなら、直球勝負だけではダメだと言うことです。時には「逃げ」の変化球を使う。振り逃げなんていう「せこい」手も使う。隠し球なんていう「汚い」手も使う。

どんな手を使ってでもプロである教師は結果を出すことが大切だ

と思います。
きれい事だけでは、厳しい現場は生き抜けません。

―「せこい」「汚い」手もですか。先生、カエルのかわいらしいイメージも一転。「日本一のお笑い教師」の仮面がはがれてしまったのでは…?

そうなんですよ。私のイメージが「ブラック」に変わってしまいそうで心配です。
編集者に乗せられて、調子に乗って書いてしまいました。私の「ブラックさ」「腹黒さ」を暴露してしまったのは、「日本一のお笑い教師」の「策略」としては、失敗ですね。編集担当者が私より数段「ブラック」だということでしょう。
日本全国3億人の健ちゃんファンが離れていかないか、心配しています。嫌いにならないでね。

―いえいえ私はちっとも、ブラックじゃないですよ(ムッ)。あ!やはり先生もカエル…じゃなくて人間。「策略」どころではなく、どうしてもムッと「感情」的になることもあるのでは…?

ないですよ。そのためには

自分はプロだという自覚を持つこと

です。
「覚悟」と言ってもいいかな。
くり返し書きますが、教師は誠実でなくてもいいので、結果を出すことが全てだと思っています。
結果を出すためなら、何でもする。自分の感情とかメンツとかにこだわっても仕方ない。そこは割り切ってやってます。
たとえば私の代名詞である「お笑い」。子どもたちに合わない、結果を出せないのであれば、いつでも捨てる覚悟がありますよ。

―なんと!かっこいいですね。そんな先生が特に読んでいただきたい本書おススメを教えてください。

私が最近、一番こだわっているのが「予防」です。たとえば、学級崩壊。いったん学級崩壊してしまえば、為す術はありません。だから、

壊れないように「予防」する。

「やんちゃ君」もそうですね。いったん「やんちゃ君」が反抗的になってしまうと、ゲームオーバーです。どんな手を使っても指導は入りません。そこで、「予防」です。
「やんちゃ君」が背を向けないように「予防」することが大切なのです。

―そういえば、第2章は「『やんちゃ君』に反抗させない『策略』」について述べられてますね。「やんちゃ君」の「予防」について、もう少し詳しく教えてください。

「やんちゃ君」とは絶対に対峙しないことです。「やんちゃ君」と対決し、言うことを聞かせて勝った気になっている教師をよく見ます。しかし、負けた「やんちゃ君」はおもしろくありません。どこかのタイミングで、反抗的になってしまいます。
「やんちゃ君」と戦わなくてすむように「予防」する配慮が必要なのです。戦わなければ、絶対に負けることはないですからね。私がどんな「予防」をしているかは、『ブラック本』をお読みください。

―読みたくなりますね!では、ここまでお読みくださった先生方に一言メッセージをいただきインタビューを終わらせていただけたらと思いますが…

今の教室は「戦場」になってしまっています。「戦場」では、熱意や誠実さだけでは戦えません。

しっかりと「策略」を巡らせて戦う必要があります。

熱意や誠実さだけを武器に戦ってしまうと、学級崩壊という「敗戦」は目に見えています。メンタルヘルス面で休職、自殺なんていう「戦死」をしてしまう可能性さえあります。
本書を読んで、「腹黒さ」を学び、厳しい現場を生き抜いてください。
熱意や誠実さなんて、きれい事だけではダメなのです。

(構成:佐藤)

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