著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
J-POPの曲を使って楽しく力のある授業を!
千葉県君津市立小糸中学校教頭柴田 克
2016/2/23 掲載
今回は柴田 克先生に、新刊『J-POPで創る中学道徳授業2』について伺いました。

柴田 克しばた かつし

1982年千葉県君津市立小櫃中学校で教諭となる。
その後、袖ヶ浦市立長浦中学校、木更津市立中郷中学校、君津市立松丘中学校、君津市立亀山中学校と5校に教諭として勤務中、卓球部を道徳的視点を入れて指導し、5校全ての学校を千葉県大会優勝、関東大会出場に導く。
現在、君津市立久留里中学校教頭を経て、現在君津市立小糸中学校教頭。
千葉県版中学校道徳副読本副編集長。

―本書は、前作『J-POPで創る中学道徳授業』の続編です。第2弾は、大変好評いただいた第1弾から、さらにバージョンアップしたとのことですが、どのような点に力を入れられたのでしょうか。

 道徳教科化の流れのまっただなかで、本書を書き上げました。特に教科化になった大きな理由の「いじめ問題」に対応できる教材を多めに掲載させていただいています。また、「考え、議論する道徳」を意識した展開や少し難しめの「カウンセリング理論」を用いた展開なども加えました。もちろん歌詞の主人公の心情を追う従来型の展開もあります。また今回はPV(プロモーションビデオ)、MV(ミュージックビデオ)を使用した例も紹介しています。

―今回の書籍では、PVやMVを活用する事例も、いくつかご紹介いただいたということですが、PVやMVを活用するよさは、どのような点にあるか教えてください。

 まず、時間が5分〜8分という点が授業で活用しやすいと思います。最近のPV・MVは、ストーリーが大変よく練られていて、短編映画のような素晴らしい作品がたくさんあります。素晴らしいストーリーに、感動のある歌詞と心地よいメロディーがのせられるわけですから、子どもだけでなく大人もその世界に引き込まれます。それゆえ、当然授業にも意欲的に取り組むようになります。

―今回も、本書で取り上げられている歌は、松山千春さんからSEKAI NO OWARIまで、非常に幅広いと感じます。先生は、活用したい曲を見つけたのち、どのように教材化していらっしゃるのですか。

 まず、自分が感動しなければ「授業をしたい」という意欲が湧きません。また、自分の範疇だけでなく、幅広い多くの人から曲の情報を得るようにしています。そして、22の内容項目のどの部分で展開できるかを考えます。何度も歌を聴きこみ、アーティストの人生についても調べます。また、子どもの生活実態から「こういうことを考えてもらいたい」という日頃からの感覚も大事にしています。アーティストの顔と子どもの顔を思い浮かべながら発問を考えていきます。

―第1弾発刊から第2弾発刊までの間に、道徳の教科化が決まりました。J-POPの曲を活用した道徳と教科化との関連があれば教えてください。

 道徳教科化の流れになった要因は「いじめ問題」の他に「学校間や教師間による道徳に対する温度差」が大きいということがあげられます。熱意の温度差は授業技術の差につながります。特に、読み物教材の場合はその差が顕著です。J-POPを活用した授業では、教材の力が大きいので、教師の授業技術の差を縮めることができます。また「コンピテンシー」(ここでは「汎用性」としておきます)を身につけるには最適な教材だと考えています。

―最後に、本書を読んで「J-POPの曲を活用した道徳授業に取り組もう!」という読者の方にメッセージをお願いします。

 「J-POPで道徳」は、CDやPV・MVを用意しなければならないので、掲載された読み物教材を使って次の日にすぐ授業できるというわけにはいかず、準備にひと手間もふた手間もかかります。でも、手間をかけた分、子どもたちは食い入るように教材の世界に入り込んでいきます。その姿を見るのは楽しいものです。子どもたちは道徳の時間を楽しみに待つようになります。まずは掲載されている曲を聴いてみていただきたいと思います。すべては子どもたちのために!

(構成:茅野)
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