- 著者インタビュー
- 道徳
道徳教科化の流れのまっただなかで、本書を書き上げました。特に教科化になった大きな理由の「いじめ問題」に対応できる教材を多めに掲載させていただいています。また、「考え、議論する道徳」を意識した展開や少し難しめの「カウンセリング理論」を用いた展開なども加えました。もちろん歌詞の主人公の心情を追う従来型の展開もあります。また今回はPV(プロモーションビデオ)、MV(ミュージックビデオ)を使用した例も紹介しています。
まず、時間が5分〜8分という点が授業で活用しやすいと思います。最近のPV・MVは、ストーリーが大変よく練られていて、短編映画のような素晴らしい作品がたくさんあります。素晴らしいストーリーに、感動のある歌詞と心地よいメロディーがのせられるわけですから、子どもだけでなく大人もその世界に引き込まれます。それゆえ、当然授業にも意欲的に取り組むようになります。
まず、自分が感動しなければ「授業をしたい」という意欲が湧きません。また、自分の範疇だけでなく、幅広い多くの人から曲の情報を得るようにしています。そして、22の内容項目のどの部分で展開できるかを考えます。何度も歌を聴きこみ、アーティストの人生についても調べます。また、子どもの生活実態から「こういうことを考えてもらいたい」という日頃からの感覚も大事にしています。アーティストの顔と子どもの顔を思い浮かべながら発問を考えていきます。
道徳教科化の流れになった要因は「いじめ問題」の他に「学校間や教師間による道徳に対する温度差」が大きいということがあげられます。熱意の温度差は授業技術の差につながります。特に、読み物教材の場合はその差が顕著です。J-POPを活用した授業では、教材の力が大きいので、教師の授業技術の差を縮めることができます。また「コンピテンシー」(ここでは「汎用性」としておきます)を身につけるには最適な教材だと考えています。
「J-POPで道徳」は、CDやPV・MVを用意しなければならないので、掲載された読み物教材を使って次の日にすぐ授業できるというわけにはいかず、準備にひと手間もふた手間もかかります。でも、手間をかけた分、子どもたちは食い入るように教材の世界に入り込んでいきます。その姿を見るのは楽しいものです。子どもたちは道徳の時間を楽しみに待つようになります。まずは掲載されている曲を聴いてみていただきたいと思います。すべては子どもたちのために!