- 著者インタビュー
- 図工・美術
「感受性」と「判断力」です。
「感性」は、造形美術教育における重要なキーワードだと考えますが、いざ指導しようとすると、とらえどころの難しい概念だと気付かされます。そこで、「感性」を「感受性」と「判断力」を合わせたものであると整理すると分かりやすいと思います。
そこに「感受性」と「判断力」、いわゆる「感性」を育む場面があるかがポイントです。学習指導要領に当てはめれば、共通事項を意識した指導ということになります。共通事項のアで示された部分は「感受性」、イで示された部分は「判断力」ととらえられるからです。
4月という年度初めに視点を当てた場合、1年生では友達に自分を知ってもらうという意味で、18頁、19頁の絵画「作品で自己紹介しよう!」、学校のよさが分かってきた2年生では、80頁、81頁のデザイン「○○中学校のよさを校章で表そう!」、3年生では、今までの表現を振り返るとともに、新たな表現の可能性を探るという意味で36頁、37頁の絵画「心の色ってどんな色?」がお勧めです。
名古屋市の造形研究では、ここ数年来、「表現と鑑賞の一体化」という視点をもち、表現しながら鑑賞する、鑑賞しながら表現するといった活動を取り入れた実践研究が多く行われてきました。
現在、学習指導要領の改訂に向けて、この視点を一歩進め、「発想・構想」「創造的技能」「鑑賞」の3つの能力の関連を重視し、構想しながら鑑賞する、鑑賞しながら創造するといった活動に重点を置くとよいのではと、論議しています。
公教育としての美術の授業には、時代や社会の要請に応え、変えなくてはならない内容や方法があるのは当然です。と同時に、造形美術教育には、変えてはならない普遍的な価値が内在していることも事実です。
文科省は、時代や社会の要請への対応を、学習指導要領という形にして、社会に発信しています。だからこそ、美術教師は、授業実践を通して直感した「造形美術教育の普遍的な価値」について、説得力ある言葉で社会に発信していくことが必要です。