著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
主体的・協働的に学びながら学力をつける算数授業をしよう!
横浜国立大学教育人間科学部教授石田 淳一
2016/12/21 掲載

石田 淳一いしだ じゅんいち

京都大学教育学部卒、筑波大学大学院教育研究科修了、同教育学研究科退学後、愛知教育大学助教授、筑波大学講師を経て、現在横浜国立大学教育人間科学部教授。学術博士。2002年度英国オックスフォード・ブルックス大にて在外研究。全国各地の小学校で指導講演を行っている。

―本書は45分の授業を「35+10」分の授業で進めるモデルを紹介しています。どのような現状を踏まえてこのような授業をした方がいいと思われたのでしょうか。

 45分の授業で教科書で予定しているページを終えることができない授業が多いです。1つの問題を45分かけて扱う場合があってもよいですが、それが普通になっているとすれば、学力向上を目指す上では問題だと思うからです。学んだことを使って問題を解くことで、理解が深まったり、練習することで習熟したりできます。

―「35+10」分モデルには3つのタイプがありますが、だいたいの流れはどのようなものなのでしょうか。簡単にご紹介ください。

 タイプA知識・技能の習得を目指す授業の場合で、35分で問題1を全体学習で、問題2をグループ学習で行い、まとめをしてから10分で練習と振り返りをします。タイプB思考表現を育てる授業の場合で、35分で問題1をグループ学習で行い、まとめをします。その後の10分で問題2を個人学習で取り組ませて振り返りをします。タイプC1ページの問題の内容が複数ある場合で、問題1、問題2、問題3を15分前後で扱いながら最後に練習・振り返りをします。

―本書では学力向上を目指す授業づくりのための10のコツを挙げていただいています。これらのコツは実際授業でどのように活用していくことができますか。

 10のコツは学び合いの授業を作るのに効果的なので、普段の授業で10のコツのいくつかを考慮して授業を行い、1学期間にすべてのコツを考慮して授業づくりを行うとよいです。

―「学び合い」によって学力はどのように向上するのでしょうか。取り入れるメリットを教えてください。

 学び合いによって、すべての子どもが安心して授業に参加でき、わからないことを仲間に伝え、仲間がそれに応えるといった援助要請・提供が行われます。また、仲間の考えを聴いて考えてつなぐことを行うので、アウトプットが常に行われ思考が活性化します。算数が苦手な子どもも意欲的になり、結果的に全員が考える、わかる、できるを実現できます。

―最後に全国で算数を教える先生方に一言お願いいたします。

 45分の授業を授業の狙いに応じて「35+10」分モデルで行うことで学力の向上につながります。学校全体で「35+10」分モデルで取り組んでいる学校でも学力向上につながったという報告も多々あります。ぜひ参考にしていただければ幸いです。なお、本書には聴き方指導のシナリオ教材、つなぐ話し合いを導く教師の一連の働きかけも書かれていますので、学び合いの授業づくりに役立つと思います。

(構成:木山)
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