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新採のときに通っていた勉強会で、国語を専門とされていた先生に強く言われた言葉があります。「福山君の国語の授業レポートを読んでいると、子ども達が国語そのものを楽しんでいる空気を感じないなあ。」「福山君は、国語の授業の布石になるものを掲示している?」「授業だけで、子ども達の国語力をつけようとしていない?」その先生が実際に私の教室を見られました。「やっぱり、子ども達の学び心に火をつけるものがないなあ。」単に子ども達の作品掲示をするだけでなく、子ども達が「掲示物からも学びたくなるような掲示の工夫」をするように言われたのです。見たくなる、魅せる掲示環境、それが知的な国語環境になっていくとその時強く感じたのを思い出します。
何といっても「故事成語」です(本書では「慣用句・ことわざ」面白ワーク&カルタに収録)。子ども達は、故事成語が大好きです。これは、1年生から6年生まで、すぐに使えます。 ワークをやった後に、カルタを繰り返すだけで、1年生でも難しい故事成語をあっという間に覚えてしまいます。1年生が「先生、この勉強をちゃんとがんばると、塵も積もれば山となりますね。」というようなことをすっと口にするようになるのがなんともかわいいです。
一番気をつけていることは、目の前の子ども達にフィットするかということです。この子ども達には少し簡単な問題から入ろう、問題数を少し多くしてみよう、イラストを多くしようなど、今目の前の子ども達全員が「一笑懸命」(笑いながら)やってみたいと思うかを強く意識しながらつくっています。それだけに、ワークをやらせたときの反応をしっかり見て、自分の子ども達一人ひとりの「見立て」があっていたかを振り返って、次のワークづくりに生かし続けています。オリジナルワークづくりに挑戦すると、「子ども理解力」も高まると思っています。
実は、自分がイラストを描くようになったのは、新採のときからなんです。子ども達の毎日書く日記の返答に、言葉だけでなくイラストをちょこっと付け加えると、子ども達が大喜びしたのが忘れられず、30数年間描き続けています。
最初は、市販のイラストにトレーシングペーパーを重ねて、真似して描いて練習していました。今、その頃のイラストを見ると、ものすごく下手なのですが、それでも子ども達は大喜びしてくれました。下手でも、自分達のために一生懸命描いてくれたという教師の姿を、子ども達はしっかり認めてくれるなあと思います。下手でも挑戦する、教師も子ども心に戻って少しずつやってみるといいのかなと思っています。
本書は、30数年間、福山学級で実際に試し続けてきたものです。子ども達が必死に取り組み、本気で知的に遊んだものです。効果が出るのは、すぐではないです。本書に紹介しているワークやカードなどを使い続けた後に。子ども達が自分達でもつくってみたいと言い始めた後に。そして、何と言っても、教師自身も目の前の子ども達にあったカードやワーク、トランプなどをつくり始めた後に。ぜひ、自作できるワードデータをダウンロードして、創ることを楽しんでいただけると嬉しいです。そうすると、新しい使い方も浮かんでくると思います。そうなったとき、教室が知的国語環境に大きく変わり始めると思います。