- 著者インタビュー
- 保健・体育
「大全」が意味するとおり,体育に関する全てのスキルが網羅された内容になっています。具体的には,学習環境づくり,準備・片付けをスムーズにする工夫,体育で重要な仲間づくりの方略,子どもを肯定的に認める評価法,各領域でよく見かける支援が必要な子を伸ばす授業づくりのポイント,運動能力テストや運動会の運営まで含め,さまざまなスキルが,わかりやすく,コンパクトな形で漏れなく書かれています。「なるほどー!」「そうだねー!」と思っていただけること間違いなしです。
子どもが体育を好きになる一番のきっかけは,「できる」ことです。技能を保障するには,ステップを踏んだ指導と運動の頻度保障が必要となります。その際,教師が一方通行で教えるのではなく,運動観察場面を用意して知識を獲得させることが「わかる」楽しさにつながります。また,子ども同士の関係性がよいと運動が好きになるばかりでなく,上手になります。
こうした「できる」「わかる」「かかわる」を授業で実現することが大切だと学生にも伝えています。
体育学部の学生は自分ができるので,できることが当たり前だと思っています。ですから,できないで困っている子やできないで体育嫌いになってしまう子が数多くいることをいつも話しています。
本書には,そうした「できない」で苦戦,苦労している子をどのように指導すればよいかという指導スキルが満載です。「なわとびで一跳躍二回旋になってしまう…」「逆上がりで体が反ってしまう…」「クロールのキックが…」等々,是非読んでみてください。きっと腑に落ちます。
一番難しい質問をありがとうございます。
若い先生方にとってはどのスキルも「そうだなあ」と思っていただけるでしょう。ベテランの先生方には「こんな方法があったのかー」という場合もあるでしょう。
「子ども同士の関係を上手くつくれない」「恥ずかしがって踊ってくれない」など,授業運営や授業方法で一番困っていることが,全て読者の先生方へのおすすめのスキルになると思います。
体育は技能の伸びや仲間同士のかかわり方など,子どもの「変化」「変容」が実感できる教科です。「あの子は上手になったなあ」「がんばって取り組んでいるなあ」「チームで仲良く活動して,メンバーが満足しているなあ」など,他の教科よりはっきり見とれます。また,子どもを掌握するマネジメント技術は,他の教科や宿泊学習などでも役立ちます。
授業運営が上手くできたり,技能的指導方法を理解していたりすることが,子どもの変化を生み出す原動力になります。是非,ご自分の能力を向上させ,体育授業を通して子どもの変化を楽しんでください。本書は,その一助になると思います。