7月31日の読売新聞の記事によると、東京都で治安担当の副知事も務めた元警察官僚の竹花豊氏が、東京学芸大学で客員教授として、「学校と犯罪・非行」をテーマに3回の講義を行った。
講義では、資料を用いて学校での犯罪や非行の現状を説明したほか、グループで子どもの学校内外でのトラブルについて、教師の立場で、警察に連絡する場合、しない場合の妥当性や問題点などを考えさせる内容も盛り込まれたという。
昭島市の中学校での事件の場合
学校と警察というキーワードから連想することとして、先月報道された、昭島市の中学校での、いじめによる生徒逮捕事件が記憶に新しい。
この事件で注目に値するのが、学校側が事件の発覚後すぐに、警察に相談し、事件を起こした生徒が逮捕されていること。
中学生といえども暴力行為は立派な犯罪であり、厳罰に処されるということを明確に示したこと、また速やかに生徒の安全を確保したことなどは評価に値すると言えそうだ。一方で、今回の事件に至るまで、同じ生徒グループによるいじめの兆候があったことを考えると、警察のお世話になる前に何らかの対応が学校内でできなかったのかという批判の声も聞こえてきそうだ。
「モンスターペアレント」への対応も
警察のかかわる問題に限らず、最近では、いわゆる「モンスターペアレント」への対応を、外部の専門家に任せる、またはクレームの処理を専門とした職員を配置するなどの動きも全国で起こり始めている。学校にかかわる問題を、専門家の力を借りながら解決していこうというわけだ。
一方で、「いちゃもん学」で一躍脚光を浴びている、大阪大学の小野田正利教授は、このような問題における、教師と保護者の直接的なかかわり、対話の機会の重要性について言及しており、これは、当事者間での解決を優先的に考えるべきという見方とも取れそうだ。
求められる現場での迅速な判断
昭島市の事件にしても、「モンスターペアレント」への対応にしても、個々の事例には当事者にしか分からない事情が必ずあると思われる。
部外者が様々な情報をもとに、後から批判をするのはたやすいことであるが、その場その場で判断を求められる教師にとっては、一つひとつが常にギリギリの選択であることは想像に難くない。
そういった意味では、教員を目指す学生にとって、竹花氏の講義は貴重な演習の機会となったのではないだろうか。
- 中3少年ら、同級生を集団暴行―東京都昭島市(きょういくじん会議)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070148
上手に外部と連携を取れればいいのですが…