きょういくじん会議
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和楽器をもっと身近に―尺八と吹奏楽部が共演
kyoikujin
2007/10/24 掲載

 和楽器が小・中学校の音楽の授業で必修となったのは2002年度。あれから5年がたった。当初は、音楽の先生とはいえ和楽器を演奏できない人が多いのが現実で、さまざまなところで和楽器の講座が開かれ、受講者が殺到した。現在はどんな取り組みがされているのだろうか。

 05年度に行われた文科省の聞き取り調査によると、和楽器を用いた学年ごとの授業時間数は、「年間で1〜5時間」が、1年生は50%、2年生64%、3年生41%。「年間6時間以上」は5〜7%しかないようだ。
 それでも、和楽器が必修になってからは各地で和楽器を使った授業の取り組みが紹介されている。いずれも、これまで遠い存在だった邦楽というものにチャレンジし、子ども達が邦楽の楽しさに目覚めたというような内容だ。ただ、そこで同時に出てくるのが楽器と講師の確保に関する問題である。

 そんな中、22日の朝日新聞の記事で、こんな取り組みが紹介されていた。尺八演奏家の藤原道山氏が母校の吹奏楽部と一緒に、創立60周年記念で演奏をする、というものだ。藤原氏は、人間国宝の山本邦山氏に10歳から師事している尺八演奏家だが、一方で、クラシック・ポップスの奏者とともにユニットを結成するなど、さまざまなジャンルをまたいだ活動もしている。子どもたちも、ジーンズ姿というラフないでたちの藤原氏に指導され、これまでにない経験ができているようである。

 邦楽というと、どうしても堅苦しくて難しい、ということで、子どもだけではなく先生自身も取り組みにくいイメージを持ってしまっているということが、前掲の調査の数字にも表れている。しかし、義務教育における音楽は、何も楽器の奏法を完璧に身につけることを目指しているわけではない。主眼は、色々なものに出会うチャンスを少しでも多くつくり、その中から本当に続けたいと思う子どもが出てくる可能性を増やすことである。
 藤原氏は、「…楽しいと感じて、長く音楽を続けるきっかけになればうれしい」と言っている。演奏会の本番は29日だそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 白夜行
    • 2007/10/25 0:25:36
    小職の弟が尺八の「とざんかい」(漢字が不明)で大学時代からやっていたので、
    聞いた事ある両氏の名前で驚きました。
    徒弟制度が厳しい一方、就職にも影響を与える団体と認識してますが、
    自由な音楽になるのでしょうか?
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