- きょういくじん会議
新学習指導要領に盛り込まれた小学校英語の必修化。現在、小学校では総合的な学習の時間などで扱われている英語ですが、新指導要領では、2011年度から小学校5・6年生は週1時間の「英語活動」が必修となります。巷で話題となり、きょういくじん会議でも何度も取り上げられてきたこのテーマですが、このたび、教員へのアンケート結果が発表され、現場の声が明らかになりました。さて、気になる結果は?
今回のアンケートは、日本英語検定協会が公立小学校の教員を対象として昨年9月に行ったものです。結果を報じている7日の読売新聞の記事によると、「小学校で英語活動を教える前にどんな研修が必要か」という質問に対して、下記のような結果が出ました。
「授業の進め方などの指導法」(76.6%)
「自分自身の英語力の向上」(56.9%)
「カリキュラムなど指導計画の立て方」(56.3%)
いずれも半数以上が研修を必要と感じており、特に具体的な授業方法への不安が大きいようです。すでに総合的な学習の時間などで英語を教えている先生も多いことから、この結果は実際に取り組んでみて必要と感じた結果でもあるのです。現場の不安が実地に基づいたものであることから、非常に憂慮すべき問題と言えるでしょう。「何をどう教えるのか」の具体的な内容と方法を1日も早く提示し、実施までに全ての教員が指導力を身につけられるように整える必要があります。
「すでに自費で英会話学校に通ったり自宅学習したりしている」が28.6%、「今後取り組みたいと考えている」も48.4%との結果も出ています。教員の皆さんの自発的な取り組みに頭が下がる思いがすると同時に、導入が3年後に迫り、小学校現場にとってはまさに現実的に直面している切実な問題であると感じます。
小学校英語必修化という歴史的な転換期を迎えるにもかかわらず、このアンケート結果をみると、その準備はまだ万全ではないようにも感じます。教員の「英語力」と「英語活動の指導力」、その両方を短い期間で引き上げなくてはなりません。3年後の春、どの小学校でもスムーズに英語活動をはじめられるよう、1日も早く文部科学省が全体的な取り組みの具体案を示し、実行することが求められていると言えるでしょう。
- 日本英語検定協会
http://www.eiken.or.jp/ - 高学年で週1コマの英語活動―審議のまとめ(中教審)(2007/10/31)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070366 - 小学校英語は教科書不使用、数値評価もせず―文科省(2007/9/12)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070261 - 英語活動に教員悩む―埼玉県入間地区で実態調査(2007/7/5)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070121