きょういくじん会議
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大自然の中でリフレッシュを―学校復帰を目指す取り組み
kyoikujin
2008/4/15 掲載

 昨年8月のきょういくじん会議の記事でも報じられましたが、文部科学省の平成18年度の調査で、不登校の児童・生徒数が5年ぶりに増加したことがわかり、対策が求められています。そんな中、秋田県は、不登校や引きこもりの状態にある全国の小中学生を県内の「山村留学」施設に受け入れ、学校に復帰できるよう様々な活動を行う「あきたリフレッシュ自由学園」という新事業について発表しました。気になる事業の中身を見てみると…。

 北秋田市の発表によりますと、「あきたリフレッシュ自由学園」は、北秋田市が運営主体となっている「山村留学」施設、「まとび学園」に運営が委託されます。まとび学園は今年で16年目を迎えた山村留学の学童研修センターで、今年度も4名が入園し、10日に入園式が行われました。1年間の留学プログラムで、地元の小中学校に通いながら、月の半分はセンターに、残りの半分は地域の農家に滞在し、自然・農作業・行事など様々なことを体験します。このように、まとび学園は受け入れの実績を持っており、この事業を運営するには最適と言えるでしょう。

 8日の読売新聞の記事によりますと、リフレッシュ自由学園の子どもはまとび学園に滞在し、休日はまとび学園の留学生と一緒に農作業や行事に参加し、平日はまとび学園で過ごすとのこと。勉強は、子どもが希望すれば教員OBから5教科の指導を受けることができるそうです。また、月2回程度、臨床心理士による心のケアも行われるとのこと。受け入れ期間は、短期(1週間程度)、長期(1ヶ月程度)、年間と、希望に応じて準備するそうです。

 このプログラム、学校へは通わないことから、「〜しなければならない」といった心身の制約から子どもを解放し、安心してゆっくり休むことのできる環境を与えることができるでしょう。休むことと大自然の中で過ごすこと、親元を離れてこれまでとはちがった生活を送ることによって、事業名にもあるように「リフレッシュ」し、そのことが学校復帰のきっかけとなるかもしれません。また、まとび学園で過ごす時間はそれぞれの子どもが自由な活動にあてることもできることから、子どもの個性を伸ばす活動も行うことができるでしょう。他の留学生たちとの活動や地域の行事への参加などを通して、社会性やコミュニケーションの力を身につけることもできるのではないでしょうか。

 前述の読売新聞の記事では、「山村留学」に関して、「心の問題を対象にした取り組みは、全国で初めてだと思う」という県教委のコメントも紹介されており、児童・生徒の応募対象が全国規模ということからも、今後の動向が注目を集めそうです。

 画期的な取り組みと思われるこのリフレッシュ事業ですが、親や親しい友達と離れるなど、環境の変化が逆にストレスになることも考えられますので、それぞれの子どもに合った方法で慎重に進めることが必要になりそうですね。

 あきたリフレッシュ自由学園の定員は30名で、受け入れの時期は6月からの予定です。1人でも多くの子どもたちが、このプログラムに参加することで再び学校へ通えるようになり、それによってこのような事業が全国的に実践されるようになれば、不登校の児童・生徒を減らしていくことにつながるかもしれませんね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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