きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
給食センターにアレルギー専用調理室を設置―仙台市
kyoikujin
2008/4/18 掲載
アトピッ子のお料理ブック 2―卵・牛乳・大豆・小麦を使わない (2)

 14日の毎日新聞の記事によると、仙台市内の学校給食施設としては初の食物アレルギー専用の調理室を備えた「野村学校給食センター」がこの春より運営を開始したとのこと。近隣の小中学校計26校に1日約1万1000食を供給し、最大150食のアレルギー対応食の供給が可能という。

 仙台市教育委員会が作成した食物アレルギー対応の手引きによると、仙台市の小・中学校で食物アレルギーを有する児童生徒は2007年12月現在1794名(全体の約2.2%)で、年々増加傾向にあるという。
 仙台市では単独調理校と給食センターから供給される学校の両方がある。このうち単独調理校では食物アレルギー対応食を提供しているところが増えているものの、大規模調理を行う給食センターでは、個別調理の食物アレルギー対応食の提供は難しい状況だった。アレルギー対応食の提供ができない学校では、弁当を持参したり、児童生徒本人がアレルギーを起こす食品を除去したりして対応してきた。

 この状況を改善しようと、今回完成した「野村学校給食センター」には、他の調理室とは壁やドアで明確に区切られたアレルギー専用調理室が設置された。この専用調理室には、小麦・卵・乳について室内への搬入を禁止しているほか、できあがった給食については学校名・学級・児童生徒名を表示した学校配送用の容器に入れて各学校へ配送を行うなど、原因食品の混入や誤った配食が起こらないような配慮がなされている。
 対応食は基本的に2種類用意される。例えば、やきそば塩やきそばまたはやきビーフンコーン入り卵スープとうもろこしと豆腐のスープまたは野菜スープといった具合だ。
 仙台市では今後も給食センターを新設する場合は、専用の調理室を設けて対応を強化する方針という。

 仙台市の例のように、皆と一緒に安心して給食が食べられるようになれば、食物アレルギーを持つ子どもや親にとって本当に嬉しいことだろう。しかしながら、アレルギーに配慮した調理には要員や専用設備が必要となってくるため、実現が困難な自治体もあるのが現状だ。13日の佐賀新聞の記事でも、材料高騰や給食費未納などの問題を抱え、対策に苦心する自治体の様子が報じられている。

 昨年4月に公表された文部科学省の「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」によると、全体の2.6%の児童生徒が食物アレルギーを持っているという。学校給食おいて食物アレルギー対応を行っている学校は8割を超えるが、症状誘発時の対応や連絡体制について共通理解を図っている学校の割合は半数程度にとどまっており、食物アレルギーへの対応はまだまだ十分とはいえない。
 食物アレルギーを持つ子どもたちが楽しく安心して給食の時間を過ごせるように、さらなる改善が望まれる。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。