- きょういくじん会議
1日の読売新聞の記事によると、文部科学省は、教育支出額を今後10年間でGDP5%まで引き上げるという数値目標を、「教育振興基本計画」に盛り込む方針を決めた。
9日の毎日新聞の記事では、渡海文科相が改めて引き上げを求めていく方針を表明したことが報じられたが、額賀財務相は、4月末の時点で早々に教育支出の拡大に慎重な姿勢を示しており、先行きは不透明な状況だ。
日本の教育支出は先進国中最低レベル
OECD『Education at a Glance 2007』によると、2004年の日本のGDPに占める教育支出の割合は5%弱。この数値は先進諸国の中では最低レベルで、26番目の順位にあたる。ちなみに、1位はイスラエルの8%強、隣国の韓国も米国に次ぐ4位で、7%強の高い数値を示している。
先進国間でもGDPの額自体に格差があるので、この数値や順位だけで、各国が教育をどれくらい重視しているかを判断することはできないが、1つの指標として興味深いものと言えそうだ。
民間からの資金援助も立ち遅れ
公的な支出の増大が期待薄であると同時に、日本では民間からの資金援助や寄付による大学の基金制度なども、先進諸国と比べて大きく立ち遅れている。私立大学の多い米国では、ハーバードやエール、スタンフォードなどの有名大学が、東大の100倍以上にあたる兆円規模の基金を有するなど制度が確立しており、豊富な運用益を背景とした奨学金制度のおかげで、学生の負担感は日本ほど大きくない。
支出の分配にも問題あり?
教育への支出が絶対的に少ないこともさることながら、その分配についても問題視する向きがある。
国立大学の「運営費交付金」が競争的資金化される見込みであることは、先日の記事でもお伝えしたが、代表的な競争的資金であり、年間2000億円規模の予算である、いわゆる「科研費(科学研究費補助金)」の分配には、大きな偏りがある。
科研費は国公私立の区別なく、どの大学の教員も応募することが可能であり、細かな基準に基づく審査で交付の可否や額が決められているが、その実態は、東大・京大で全体の約20%、その他の旧帝大をプラスすると全体の約40%を占めるなど、建て前とは大きく乖離している。一方で、全国の私立大学でも最大規模を誇る早稲田大学、慶應義塾大学の全体に占める割合はそれぞれ約1%程度で、国私立間の格差も大きい(数値は、週刊『東洋経済』2007/10/13号より)。
- 科学研究費補助金(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/main5_a5.htm - 米エール大も学費値下げ ハーバード大に対抗(イザ!)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/115654/