きょういくじん会議
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和を広げる「コミュニティ・スクール」、全国343校に
kyoikujin
2008/5/25 掲載
新しいタイプの公立学校―コミュニティ・スクール立案過程と選択による学校改革 (日日教育文庫)

 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正にともない、学校運営協議会制度が導入されてから、来月で4年目を迎えます。19日に公表された文科省の資料によると、これまでにコミュニティ・スクールに指定された学校は、小学校を中心に全国で343校に広がっていますが、学校と保護者・地域の住民が一体となって学校運営にかかわれる開かれた学校づくりの効果は、どのくらいあるでしょうか。

コミュニティ・スクールとは?

 日本でいうコミュニティ・スクールとは、学校運営協議会がおかれている公立学校のこと。文科省の「コミュニティ・スクールをめぐる20のQ&A」によると、学校運営協議会とは、公募や推薦で選ばれ、教育委員会から地方公務員として任命される保護者や地域住民の代表からなる委員会で、学校の基本方針の承認や教職員の任用、その他の運営や教育活動について一定の権限をもち、直接意見を述べることができます。

実践の成果と課題

 全国の公立学校にも配布される事例集には、コミュニティ・スクールでの取り組みの成果や課題などがまとめられています。
 成果としては、以下のような点が挙げられています。

  1. 学校の基本方針の学校運営協議会による承認が、保護者や地域住民の参加意欲を高め、校長のリーダーシップ発揮を支援すること
  2. 保護者や地域住民の要望などに関するアンケートを積極的に行い、具体的な行動計画を話し合うようになったこと
  3. ボランティアとして学校活動に参加する保護者が増加したこと
  4. 学校の公開の回数増加や、ホームページの充実を図るようになるなど、開かれた学校づくりが促進されたこと

 このように、学校運営協議会制度の導入により、新教科の設立や学習や安全支援のシステム構築など、既存の学校教育に新風を吹き込むような、工夫の凝らされた実践も積極的に行われ、スポーツ大会や清掃活動などを通して、異年齢の子どもや地域住民との交流が活発に行われているようです。
 一方、以下のような課題が挙げられています。

  1. 新しい教育活動での子どもの参加内容、活動時間の調整の難しさ
  2. 子どものニーズに合わせた学習システムを運営する上での人材不足と支援者養成の必要性
  3. 保護者や地域住民に活動やボランティア募集を知ってもらうためのPR、広報活動の必要性
  4. 同じような実践に取り組む学校同士の情報交換の不足

 外部の講師や劇団などの招聘がしやすくなり、ボランティアとして参加する保護者が増える一方で、まだまだ支援者の人手不足なども課題となっているようです。また、各教科とその他の新しい活動に充てられる時間数や、定期的に必要となる打ち合わせなど、やはり教師の負担増加を避けることは難しそうです。

米国での学校と地域の連携

 学校と地域の連携を図る活動として、一般的な米国の小・中学校では、地元の企業や民間団体の協力を得て、職業体験や社会科見学などの実践的な学習体験の機会を増やそうという試みが多いようです。学校の役割のひとつは、社会の一員として生きていくための、そして働くためのスキルを身につけさせることだという意識と、子どもの早くからの自立を期待する意識の表れでしょうか。

 保護者からのクレームなどに頭を悩ませる教師も多いこのご時世。学校と保護者や地域の住民が協力をして、地域の人たちに見守られ、安心できる学校づくりに大きく貢献することを期待したいですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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