- きょういくじん会議
2日の朝日新聞の記事によると、来年度予算で新設される「元気な日本復活特別枠」で予算を得ようと、文部科学省が動画サイト「You Tube(ユーチューブ)」などを通じて市民向けの宣伝作戦を始めた、と伝えている。みなさんはもう、この動画をご覧になっただろうか。
○「元気な日本復活特別枠」とは
7月末に開かれた政府の臨時閣議で、平成23年度予算の概算要求基準が閣議決定された。政府は、国債費を除く一般歳出について各省一律で前年度比10%を削減し、そこで生みだされた1兆円超の財源を「元気な日本復活特別枠」として成長分野に重点配分するとしている。
各省庁はそれを受けて、環境や医療といった成長分野やマニフェスト関連の予算を特別枠の範囲で要求し、現在それらの要求に対してパブリックコメントを実施している。これは、予算編成過程の透明化・見える化を進め、国民の声を予算編成に反映させる「政策コンテスト」というかたちの試みである。
○「見える化」への文科省の取り組み
今回文科省は、23年度の予算について、これまでのような報道発表の資料だけではなく、「You Tube」での配信という形をとって幅広く訴えかけようとしている。これは、同省が積極的に「ひらかれた行政」になろうとしていると評価できるともいえる。
同省の同じような取り組みといえば、4月から開始された「熟議カケアイ」が記憶に新しい。4月22日のきょういくじん会議でも紹介しているが、この「熟議カケアイ」ではこれまでの半年間で、1万以上のコメントが書き込まれた。
9月27日からは、こちらの「熟議カケアイ」においても、「元気な日本復活特別枠」の要望についての議論が始まっている。文科省は、政策コンテストに先立って「熟議」を活用することによって、より実効性のある政策にさらに磨き上げ、今後の施策の展開に活かしたいという考えのようだ。
○国民参加型の教育政策形成へ
教育については、だれもが経験者として自らの体験を語ることができるという点で、他の分野とは異なっているといえる。とはいえ、政策や予算編成などは、「知らないところで決められている」「自分には関係ない」と考えている人が多いのではないだろうか?
多くの人が、自らの経験をもとに政策のよしあしを判断し、それが集約されて国政を動かすことができる・・・ 民主主義の本来のあり方として、ぜひ身近な「教育」という分野から、貴重な「一票」ならぬ「一声」を投じてみてはいかがだろうか。
※なお、「熟議カケアイ」での「元気な日本特別復活枠」のコメントは10月22日まで、内閣官房でのパブリックコメントは10月19日まで募集されている。