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発達障害の子どもが学ぶ見晴台学園、博報賞受賞
kyoikujin
2010/10/18 掲載
LD・ADHDが輝く授業づくり

 愛知県名古屋市の見晴台学園が「保護者との協働によるLDなど発達障害児のカリキュラム・授業づくり」で第41回博報賞を文部科学大臣奨励賞とともに受賞した。
 1990年にLDのある子どものための学園として特別支援教育の概念もない時代に開校し、無認可で小規模ながら、関係者や保護者の熱意や努力の積み重ねにより毎年困難をもつ生徒を育て上げてきたこの学園の貢献・努力が認められたのだ。

博報賞とは

 博報賞は、博報児童教育振興会が、児童・生徒に対する日常の教育現場で貢献・努力している学校・団体・教育実践者を顕彰することを通して、児童教育の現場を活性化させ、支援することを目的として設けている賞である。この賞には下記の5部門があるが、今回、見晴台学園は特別支援教育部門での団体受賞となった。第38回(2007年度)には全国LD親の会も受賞している。

  • 国語・日本語教育部門
  • 特別支援教育部門
  • 日本文化理解教育部門
  • 国際文化理解教育部門
  • 教育活性化部門

見晴台学園とは

 見晴台学園は、「もっと学びたい!」「友だちがほしい!」と思っても行き場のなかった子どもたちのために、その親たちが中心となって設立した、学園である。
 当初、無認可の5年制「高校」として産声をあげ、1995年には中等部ができ、12〜15歳の子どもが地元の学校に籍をおきながら「実習」という名目で毎日学園に通ってきている。出席状況、学習・生活の様子は毎月在籍校の担任に連絡されるなど、在籍校・保護者・学園が連携している。クラスは、1〜3学年合同の複式クラスで、本人が安心して毎日通える環境、集団や友だちとの関わりを大切にしている。
 5年制の高等部は3年間の本科と続く2年間の専攻科があり、本科では自分のペースでゆっくり学ぶことを大切に、専科では本科で培った意欲と自分らしさを大切に、卒業後に向けた進路や自立の課題に生徒は各自取り組んでいく。
 そして、卒業後は、就職、進学等々それぞれの道を歩むが、学園では2001年に「自立支援センターるっく」を設置、福祉の制度も活用して学園の卒業生が安心して生活できるよう支援も行っている。

 見晴台学園が設立された頃に比べると特別支援教育は制度化され、発達障害の子どもが学びやすい環境は整えられつつあるが、それを牽引してきた1つに見晴台学園の取り組みがあるだろう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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