授業のねらい―社会的な見方・考え方を鍛えるポイント
- 地理
- 歴史
- 公民
ロッテ「コアラのマーチ」からSDGsの目標である「15 陸の豊かさも守ろう」「13 気候変動に具体的対策を」について、私たちの消費行動とCSR(企業の社会的貢献)の関係から考える。
1 コアラのマーチ
グループに1個づつ「コアラのマーチ」の空箱を配布する。「なんだ!中身は入っていないんだ」の声。
1984年10月、2頭のコアラがオーストラリアから多摩動物公園*にやってきて大人気になった。当時の映像を見せる。『コアラは何を食べるの?』「木」「ユーカリ」等のやりとり。オーストラリアには約600種類のユーカリの木があるが、コアラが食べられるのは、そのうちの120種類くらいである。コアラが日本にやってきた7か月前、1984年3月に「コアラのマーチ」が発売されている。
2 減ってきたコアラ
20世紀はじめ、コアラは約300万頭だったが、現在は、10万頭以下になっている。『なぜコアラは減ってきたのか?』と問う。「人気ものなので世界各地に広がった」「勝手に捕獲する人がいる」「ユーカリが減少してきた」との回答。主な要因は「都市化」である。都市化にともなう道路や住宅建設のため森林が伐採され、コアラが生息する場所が減少したことに加え、車にはねられたり、飼い犬に襲われる事件も多い。歴史的背景も学習したい。『オーストラリアはどこの植民地だったかな?』「イギリス」『1778年にイギリス人アーサー・フィリップが約1500人を連れて上陸した。その半数はどんな人?』「働く人」「奴隷」『以前まで流刑地であったアメリカに変わりオーストラリアに囚人が送られてきた』「へっ!それがオーストリアのはじまりなんだ」『先住民族アボリジニーはすでに住んでいたが、ヨーロッパから多くの人が移住し、都市化が進み、コアラは減っていく』こんなやり取りから既習知識を確認する。
3 森林火災とコアラ
動画でオーストリアの森林火災を紹介する。2019年9月ごろから南東部のニューサウスウェールズ州を中心に森林火災が頻発するようになった。2020年1月までに焼失した面積は?「大阪府」「近畿地方」「北海道地方」から選択する。焼失面積は、北海道に岩手県をプラスした約10万7千Km²である。森林火災と「地球温暖化」との関係をグループで考える。「暑くなると葉が燃えるのでは」(笑)「オーストラリアは乾燥しているから」「雨が降らないとおさまらないや」「暑い、乾燥という気候が原因だ」等。平均降水量が少なく空気が乾燥していたのに加え、2019年は、平均気温も過去最高を記録したこと、12月には記録的な熱波が到来するなど、火災が発生・拡大し、建物の被害は約6000棟、死者も29名になった。コアラはどうなったのだろう?オーストラリアの環境大臣は2019年12月、ニューサウスウェールズ州の海岸沿いに生息するコアラの最大30%が森林火災で命を落としたと述べている。
4 コアラ基金と温暖化対策
「オーストラリア・コアラ基金」マークを紹介する。1994年から、ロッテは、「オーストラリア・コアラ基金」に参加し、売り上げの一部が寄付される。また、コアラの保護や研究のためにも使用され、コアラの減少に歯止めをかけるための活動をしている。また、「コアラのマーチ」のパッケージの90%以上を再生紙にしたり、トレーの高さを1.1cm縮め、年間約6万m²の紙を節約している。1.1cmとは、ほんのわずかであるが、年間にすると、東京ドーム約1.3個分になる。
“消費”は“投票”である。「美味しい」「安い」はインセンティブの一つであるが、企業の社会的貢献(CSR)を選択肢とすると「地球」も「自分」も嬉しくなれる。そんなことを生徒と共に考えたい。最後に「コアラのマーチ」を食べるのもいい(笑)
【注】
*同時期に多摩動物公園のほか、名古屋の東山動植物園、鹿児島の平川動物公園にもコアラがきています。
【参考文献】
@コアラのマーチ公式サイト
Aコアラ基金の紹介ページ
Bオーストラリア・コアラ基金 ホームページ
-
- 1
- 名無しさん
- 2020/6/20 22:28:27
環境の事を考えさせるきっかけになって良いと思います。