
- マスターしたい指導技術集
- 教師力・仕事術
子どもが進んで追究を始めるように、単元の導入をどう工夫すればよいでしょうか。
導入で、子どもの問題意識を高めたいのですが、なかなかうまくいきません。
子どもの追究を促すために、導入でどのような工夫が必要でしょうか。
よくある工夫は、「疑問をもたせること」です。
これは、多くの人が使っている工夫です。
しかし、この工夫に、さらにちょっとしたコツがあることは、あまり意識されていません。
それが、「細部にこだわり、掘り下げる」技術です。
例えば、小学4年生の社会科「くらしと水」の導入場面。
最初に、家の蛇口をずっと遡っていくと、最終的に、何とつながっているのかを考えさせます。
そして、蛇口の先に、川(湖など)がつながっていることを教えます。
子どもたちは一応にびっくりします。
「家の水道の蛇口と、川がつながっている」と思っている子は多くはありません。
次に、家の水道の蛇口と川を、土管でつないだ絵を板書します。
そして、尋ねます。
「このままだと、だめなことがありませんか。」
子どもたちは口々に言います。
「だめだよ!それじゃあ!」
子どもたちに、どんなだめなことがあるのかを言わせます。
魚が入ってくるとか、ゴミが入ってくるとか、水が汚いなどが出るでしょう。
そして、尋ねます。
「家の水道の蛇口と、川との間にどんなものを置いたらよいですか。」
水をきれいにする施設とか、魚が入ってこないような網とかが出るでしょう。
ここまでは、よくある展開です。教科書通りといっていいでしょう。
さて、ここからです。
力ある教師は、ここからが少しだけ違うのです。
ここから、さらに掘り下げて、いろいろな場合を考えさせるのです。
例えば、「水をきれいにする施設」という意見が出たら、次のように問い返します。
水をきれいにする施設は、川と家の間のどのあたりに置いたらよいかな?
水をきれいにする施設から遠く離れている家には、きれいな水が来ないよね?
家が山の上にある場合、水が来なくて困るんじゃないの?
土管の中が汚いってこともあるんじゃないの?
きれいにしても、その後、虫とか動物が入ってきたらどうするの?
このように、いろいろな角度から考えさせるようにします。
すると、子どもたちは、水をきれいにするだけの施設だけではだめだと気がつきます。
さらなる意見が、子どもから出るでしょう。
それに対しても、「この場合はどうかな?」と、別の角度から考えさせていきます。
このように重要なところは、掘り下げていくと、子どもたちは、強い問題意識をもつようになります。
自分は全然わかっていなかった。くやしい。調べたい。
誰の意見が正しいのか分からない。調べてみたい。
調べたくて仕方ない状態にまで、子どもの問題意識を高めるのです。
そして、「次の時間に、川と家の間にどんな施設があるのかを調べていきます。」と宣言して授業を終えます。
子どもたちの問題意識は高まっているので、事前に自分で調べてくる子まで出てきます。
勝手に追究を始める子が出てくるのです。
こうなると、教師がしっかりとほめていけば、追究する子がクラスにどんどん増えていきます。
実は、授業の初心者が一番できないのが、この「細部にこだわり、掘り下げる」という技術です。
大切な内容を掘り下げることができないのです。
さらっと次の活動に移ってしまうのです。
大切な内容については、細部にこだわって、掘り下げていくべきです。
そうすれば、子どもにとって印象的な知識になりますし、問題意識も高めることができます。
それに、授業になかなかついていけない子も、「問題点は何か」をはっきりと意識できますし、「これからの活動の見通し」をもつこともできます。
一つの内容を、別角度から何度も繰り返し教師が尋ねるから、いろいろな子が発表する中で、できない子も「ああっそういうことか」、「確かにここはおかしいぞ」と分かってくるのです。
ここはしっかり教えたいという箇所では、いろいろな角度から考えさせる問いを教師が出すと良いでしょう。
「細部にこだわり、掘り下げる」ことで、全員が、授業に積極的に参加できる状態になり、大切な内容を強く印象づけることが可能なのです。