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授業での、子どもとのコミュニケーションがうまくいきません。
グループ学習で、子ども同士のコミュニケーションが、うまくいっていません。
コミュニケーション能力は、とても大切な力です。
特に、授業では、教師と子どもとのコミュニケーションの場面が多々あります。
指名をして、子どもの発表を聞く場面。
子どもの発表を聞いて、評価する場面。
教師の考えを伝える場面。
様々なコミュニケーションの場があります。
また、子ども同士で相談する場面も多くあります。特に、グループ学習では、子ども同士がしっかりとコミュニケーションをとることが必要です。
実は、教師と子どもとのコミュニケーションがうまくいっていると、子ども同士のコミュニケーションもよくなってきます。それは、子どもたちが教師をモデルにして、友達と接するようになるからです。
では授業において、教師が子どもとうまくコミュニケーションをとるには、どうすればよいのでしょうか。
大切なキーワードは、「承認」と、「傾聴」です。
まずは、「承認」です。
これは、相手の考えを肯定的に受け取ることを意味します。
子どもが進んで意見を言うようになるまでは、どんな意見も、肯定的に評価していくのです。
肯定的な評価が続くと、子どもたちは、自分の考えを述べることに躊躇がなくなってきます。進んで発表するようになるのです。
もう一つは、「傾聴」です。
「傾聴」には、「質問」、「待つ」、「助ける」の三つを意識すればよいでしょう。
例えば、教師の発問に対して、子どもが答えるとします。このとき、まずは、子どもの意見をしっかりと聴くようにしてみてください。
真剣な表情で、うなずきながら耳を傾けます。その上で、子どもの意見で分からないところがあったら、「これはどういう意味?」と尋ねるようにします。尋ねるときも、「あなたの考えを知りたい」といった思いで質問します。
すると、子どもは何とか、教師に分かるように説明しようと頑張ります。
この一部始終のやりとりを見た子どもたちの意識は変わります。
「先生は、私たちの意見を、一生懸命聞いてくれる」
「先生は、どんな意見でも耳を傾けてくれる」
このように思うようになります。すると、教師相手のコミュニケーションで、子どもは安心して自分の考えを開示してくれるようになります。
もちろん、子どもによっては口べたでなかなか説明できないといったことがあるでしょう。
そのようなとき、教室はシーンとなります。沈黙の時間が訪れるのです。このような沈黙の時間が流れても、教師は平然としていなければなりません。
教室がシーンとしていても、子どもが考えを言うまで待ってあげるのです。
授業の初心者は、この沈黙に堪えられません。ついつい、教師が話し始めてしまいます。そうではなくて、子どもが、自分の考えを整理できるまで待つのです。
どうしても言えなければ、「じゃあちょっと座って意見を考えておいてね。後から意見を聞くからね」と言えばよいでしょう。
または、少し助け船を出してあげればよいのです。
その子が言った言葉を繰り返してあげるとか、今までに出ている意見を繰り返してあげるとかです。そうした助け船を出すと、意見が言えるようになる子もいます。
このような、「質問」、「待つ」、「助ける」といった姿を、他の子どもたちはよく見ています。だからグループで子ども同士が相談するときも、教師のやりとりをモデルとして、話し合いができるのです。
教師が一人ひとりの意見を大切にしていれば、子どもたちも、それぞれの友達の意見を大切にしようとします。友達が意見を言えなくて困っていたら、待ってあげたり、助け船を出したりするようになります。
グループ学習で,子ども同士のコミュニケーションがうまくいっているかどうかは、実は、日頃の「教師対子ども」のコミュニケーションの成否に関わっているのです。日頃から、「承認」と「傾聴」を意識して、子どもとコミュニケーションをとるとよいでしょう。