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「指導と評価の一体化」はどう図る?
この記事が公開される頃は、ちょうど通知票の時期でしょう。そのため、今回は国語科の評価について述べたいと思います。
まずは、「読むこと」の評価です。いきなりですが、先生方はどのようにして「読むこと」の評価をしているでしょうか。市販テストを主に用いているでしょうか。私は、「読むこと」の評価をする際、市販テストは参考程度にしています。というよりも、そうせざるを得ないのが実状です。
なぜなら、市販テストはこの文章で何が書かれているか、という表層的な理解を問うものがほとんどだからです。もちろん、そういった字面的な理解は重要です。しかし、授業で指導していることはもっと深い読みであるはずです。学習指導要領では指導過程を「構造と内容の把握」「精査・解釈」「考えの形成」「共有」とされています。市販テストで問われるのは主に「構造と内容の把握」に関する力です。「精査・解釈」や「考えの形成」については、教師が独自に評価していくべきです。
これまでの国語授業
評価には、市販テストを用いる
「精査・解釈」や「考えの形成」は、「構造と内容の把握」に比べると、個性が出ます。
例えば、「どうぶつ園のじゅうい」(2年・光村)では、「いつどんな仕事をしたのか」ということが「構造と内容の把握」にあたります。それに対して「どのような順序で書かれているか」「獣医さんのすごいと思うところはどこか」「この説明文の面白いところ・よいところはどこか」などに対して自分の考えを持つことが「精査・解釈」や「考えの形成」にあたります。
これらは、市販テストでは評価できません。そのため、私は「読むこと」の単元の後は必ずレポートを書かせるようにしています。レポートといっても難しいものではなく、「物語の面白いところを書く」とか「説明文のよいところを書く」などというものです。このようなものでしたら、低学年でも書くことができます。
国語科指導技術・ニューノーマル
評価には、レポートを書かせる
このようにして書かせたものをもとに「精査・解釈」や「考えの形成」は評価するようにします。そうすれば、漏れのない評価ができますし、何より授業で指導した「精査・解釈」「考えの形成」に関してもきっちり評価をしていき、自分の授業がどうであったか、子どもに力はしっかりついているかなどを点検でき、「指導と評価の一体化」を図れます。
ここがポイント!
- ちょっとした工夫で指導と評価は一体化できる!
根拠のある評価をするためには?
次に「書くこと」の評価についてです。
「書くこと」に関しては、「読むこと」よりもきちんとした評価をするのが難しいと思います。なぜなら、市販テストには「書くこと」のテストがそもそも入っていないことがあるからです。
ですから、子どもが実際に書いたものを教師が実際に読んでみて判断するしかないのです。その際、どうしても主観的になったり、根拠が薄くなったりしがちです。極端な場合、書いている量だけで判断してしまったり、字のきれいさで判断してしまったりしてしまうこともあるかもしれません。そこまでひどくはなくとも、私も初任者時代などに、「何となくこの文章がよいからA、こっちはB」と決めてしまっていたことがあったように思います。このようないい加減な評価をしている時は、子どもによい指導もできません。教師の中で、こういう文章を書いてほしい、という明確な思いがないからです。だから、実際によい文章に出合っても、どこがよいのか具体的に評価できませんし、反対によくない文章しか書けていない子には、具体的な支援ができません。「もっと頑張りなさい」などと根性論に陥ってしまいます。
これまでの国語授業
主観で評価したり、曖昧な判断規準しか持てていなかったりする
そういった、いい加減な評価及び指導を抜け出すためには、指導する前に教師がA評価例、B評価例、C評価例を実際に書いてみることです。そうすることで、明確な基準に基づきながら評価ができますし、指導する際にも書かせたい文章が明確になっているので、分かりやすく明示的な指導ができ「指導と評価の一体化」を図ることができます。
まず、その単元で指導すべきことを概ね盛り込めている文章を書いてみます。それをB評価例としましょう。
それを基準として、さらにその単元で子どもが「こういう工夫をしてきたら面白いな」「こういう取材をしてきてくれたらいいなぁ」ということを、子どもの姿を具体的にイメージします。そういった要素を盛り込みつつ書いた文章をA評価例としていきます。反対に、その単元で指導すべきことが盛り込まれていない文章も書いてみましょう。それがC評価例になります。
国語科指導技術・ニューノーマル
A評価例、B評価例、C評価例を教師が書いてみる
このように、教師が具体的に文章例を書き想定しておくことで、実際に子どもからA評価例のような文章が出てきた時はその価値に気づけ、クラス全体に広げることができますし、反対にC評価例のような文章に留まる子には、どのような要素が足りないのかをすぐに見とり、具体的に支援していくことができます。
ここがポイント!
- クラスの子どもの様子を具体的に思い浮かべてこそ、Bと認められる子ども像が描ける!