- 1人1台端末の授業づくり
- 授業全般
私は3年生の担任をしています。
2学期に、算数「三角形と角」を行いました。そのときの実践を紹介します。この単元では、二等辺三角形や正三角形についての意味や性質を理解することがねらいです。この実践を振り返って私が考えていたことを紹介します。
1 準備時間が減る
子どもたちには上記のように様々な三角形を提示、同じものを送信しました(実際の実践ではもう少し多くの三角形を載せていました)。これらの三角形は、自由自在に動かすことができるようになっています。
これらの三角形は、PowerPointで3〜5分くらいで作ったものです。タブレット端末導入前、一人ひとりにこれらの三角形を渡そうとすると、「PowerPointで作成→人数分印刷→三角形を一つずつ切る」といった数時間はかかるといった準備時間が必要でした。しかし、タブレット端末が導入されたことで、準備時間が10分の1以下になります。三角形を一つずつ切るということは授業中に子どもたちにさせたらいいのではというご意見もあるかもしれません。三角形を一つずつ切るということが、本時のねらいやメインの活動につながっているのであれば、子どもにさせてもいいのでしょう。こういった切るという活動は我々が思っているよりも時間がかかります。本時のねらいやメインの活動にあまりつながっていないのであれば、事前に準備をしておかないと、
本当に取り組みたい時間が削られる
ことになります。だから、時間がかかっても準備をしていました。
このように書いていますが、私自身これまでの算数授業で「準備」を子どもにさせていたことがあります。タブレット端末が入ってきてこのようなことを心配しくなくなりました。
タブレット端末を使うことで、
本当に取り組みたい時間をしっかり確保することができるようになった
ということを実感しています。別に、時短をしたいためにタブレット端末を使っているのではありません。結果としては、時短になっています。
2 子どもたちが考えた結果
さて、実践に戻ります。子どもたちには、
三角形を仲間分けしよう
という課題を出しました。子どもたちは三角形を動かしたり、書き込んだりしていました。そして、子どもたちに「仲間分け、みんな同じになったと思う?」と聞くと、
「同じ」「違う」
と思った声が聞こえてきました。
そこで、どのように仲間分けをしたのかを交流していくことにしました。最初に発表した子の仲間分けが以下のようでした。ちなみに、どのように仲間分けをしたかは大型モニターに映し出した上で、説明する場を設けました。
この子は、「同じ三角形」と「縦長の三角形」と「横長の三角形」いった理由も言いました。
この仲間分けに対して、「え!?違うよ」と言っている子が多くいたのです。この授業から新たな単元のスタートです。先行学習の子たちは、この単元では二等辺三角形や正三角形を学習することを知っています。正直な話、「二等辺三角形や正三角形に分けるのでは」と思っていた子もいることでしょう。そういった子たちは、下のように仲間分けをしていました。
正直な話、このあと授業を進めていくうえでは、上の画像の仲間分けが出てきた方がやりやすいことでしょう。なぜなら、本時のゴールである「二等辺三角形や正三角形」という話にすぐにいくことができるからです。きっとこういう場面は本実践以外の場面でも多く出てきます。こういった場合、みなさんならどうしますか?
3 私はこのように言った
「違うよ」と言った子たちから仲間分け、仲間分けのきまりを聞いた後に、
「本当にさっきの仲間分けは違うのかな?どちらも正しいんじゃないの?」
と子どもたちに問い返しました。
「違うよ」といった子たちは動揺し始めていました。正解だと思っていたことを揺さぶられているわけです。「たしかに見方を変えると…」「確かに間違いではない…」といったつぶやきが出てきました。そのつぶやきを全体で拡げた上で、
「そうだよね。見た目、形に着目すると○◯さんが説明してくれたことは、正しいのでは」
という話を子どもたちにしました(私は着目という言葉は授業で使うようにしています。見方=メガネという例え話もしたことがあります)。
子どもたちの「違うよ」は悪気があるわけではありません。本当に違うと思っているのです。
子どもたちの「違うよ」には、違う見方を知らなくて言ってしまう
ことがあります。だから、違う見方があることに気づかせる必要があります。算数とは関係ありませんが、色に着目すると、図2のように赤・青・黄色と仲間分けすることもできます。
上記の話を私がしたあと、「違うよ」と言っていた子たちが「私たちは辺に着目して考えている」という話をし始めました。自分たちの考えは何に着目をしたのかを考えていたのです。
図2の考えが出てきたときに、教師自身も違うよと考えを切り捨てるのではなく、このように問い返すことで、子どもたちの見方を拡げることができます。
こういったことはタブレット端末がサポート、判断をしてくれるわけではありません。授業者が判断をしないといけません。結局は、タブレット端末をどう使うのかではなく、本時のねらいや活動のねらい、本時の見方・考え方などを授業者が考えておかないといけないということです。
様々あるタブレット端末実践ももとは様々なことを踏まえた上で生まれてきたものばかりです。そういった実践の背景を探るということをこれまで同様に求めていきたいものです。