
- とっておきの授業スキル
- 教師力・仕事術
長瀬:近年、若い先生が職場で増えてきました。しかし、中堅やベテランの先生から学ぶ機会が減り、困っている先生もいると聞きます。そこで、本連載では、中堅、ベテランの先生に若い先生の助けとなるようなすてきなアイデアを紹介していただきます。
第1回の学級経営は、山田洋一先生です。山田洋一先生は『小学校初任者研修プログラム 教師力を育てるトレーニング講座30』『教師力トレーニング・若手編 毎日の仕事を劇的に変える31の力』などで知られる教師力アップのエキスパートでもあります。

落ち着かない学級に足を踏み入れると必ずと言ってよいほど、そこは乱れています。整理整頓されていないのです。落ち着かないから、教室環境も乱れています。
しかし、一方で乱れているから落ち着かなくなってくるとも言えます。乱れた物から発せられる、乱れた「空気」が在るからです。子供達の心は見ているものに染まるのです。物を整然とさせ、落ち着いた空気を生み出す方法を、提案します。
スキル1掃除用具箱のなかを整える
掃除用具箱のなかをいつも綺麗な状態に保ちます。仮に教師が、丁寧に話をして、掃除への意欲を高めたとしましょう。
やる気満々で子供達は、掃除用具箱へと向かいます。……扉を開けた瞬間、そこには傷んだ掃除用具、しかも乱雑に置かれている―これでは、せっかくの意欲も萎えてしまいます。
「掃除用具を整理整頓しなさい」という前に、「整理整頓したくなる環境になっている」かどうかが肝心です。
そうでないと、子供達に「見えないところは、イイカゲンにしていていいんだ」という間違ったメッセージを送ることになってしまします。
そこで、次のようなことにします。
できるだけ新しい掃除用具を揃える。
- 掃除用具にはすべてかけひもをつける。かけひもの材質、長さは揃える。
- シールやテープなどで用具それぞれのかける場所を指定する。
スキル2教師がいちばん働く
休み時間あけの3時間目や5時間目、給食のあとなどに、子供を厳しく叱っている教師を見かけます。
「どうして、こんなに教室が汚いんだ!」「誰だ、このゴミ落としたのは」というような「指導」です。
もちろん、そうしたこともときには必要かと思います。しかし、子供には「綺麗な環境でいることは気持ちいい」と丹念に体感させましょう。
そのためには、先ほどのような場面でも、まず冷静に整頓を指示して、「こんなふうに綺麗だと気分がいいよね」と語るようにします。
また教師は次のような姿を見せることも大切です。
- 掃除の時間には、いちばん汚い、いちばん手間がかかる、いちばんキツイ仕事を担う。
- 普段からゴミを拾って歩く。
- 教師の机上は常に整頓しておく。
スキル3整理整頓日を決めておく
私の学級では、金曜日の帰りの会には「整理整頓」という項目が入っています。日直から促されたら、児童用の棚、机中を子供達が自ら整理整頓を始めるというものです。
その際も、「ちょっと直す」のではなく、一度棚や机の中の物をすべて出すというやり方で、徹底してやっています。
こうしたことを週末することには、単に教室を整えるという意味以上のことを子供に教えることができます。
つまり、それは始末の大切さ、そして「次への向かい方」です。
整理整頓は、いちばん身近な「心育て」なのです。

- 「整理整頓しなさい」より、「したくなる環境」をつくっておく。
- 教師が学級でいちばんの働き者になる。
- 整理整頓はスケジュールに入れておく。
長瀬:環境を整えることは、気持ちを整えることにつながります。初任の頃、学級がなかなか落ち着かず、放課後に教室を掃除しながらその日一日のことを考えることをずっと続けていました。ぜひ、若い先生には学べる環境づくりにこだわってほしいと思っています。
次回は社会科のとっておきスキルを奈良県の中條佳記先生にご紹介いただきます。お楽しみに!