- とっておきの授業スキル
- 音楽
長瀬:今回は音楽です。若い先生にとって音楽を苦手とする方は多くいます。そこで、今回は北海道の宇野先生に音楽科の授業スキルを紹介していただきます。
「ピアノが弾けない」「合唱の経験がない」―そんなことを理由に、音楽授業を憂鬱に思っている先生はいませんか。
音楽は、読んで字のごとく、音を楽しむもの。ちょっとしたアクティビティーと指導のコツを押さえるだけで、音楽の授業が楽しくなります。
スキル1心を解放&開放するリズム歩き
緊張するとおなかが痛くなることがあるように、心とからだはつながっています。そこで、授業初めにからだをほぐす活動を入れます。そうすることで心が開かれ、安心して表現できるようになります。
- 音楽に合わせて歩きます。リズムに合わせて、手拍子を打ちながら歩きます。即興のピアノ演奏が難しければ、キーボードにある自動演奏も便利です。
- 曲の途中で、教師は太鼓を鳴らします。子供たちは太鼓の鳴った数の人数で輪になって手をつなぎます。
- 輪になったメンバーで、楽しいアクティビティーをします。「3人・おちゃらかほい」「4人・アルプス一万尺」「5人・なべなべそこぬけ」などと決めておきます。
これを数回繰り返します。初めのうちは、自己紹介をさせたりハイタッチをさせたりして、心の距離を縮めます。慣れてくると、「残った人には罰ゲーム」「絶対男女が混ざる」「同じ人とはやらない」等のルールを加えても楽しく活動することができます。
スキル2知ってる曲で、ウォーミングアップ!
心が解放(開放)され、楽しい気分になった後すぐに歌を歌います。既習のもの、みんながよく知っている曲があれば、ウォーミングアップのつもりで3、4曲歌います。この間に、構えをしっかり指導します。
音読と同じように、足は肩幅に広げ丹田(お臍のすぐ下あたり)にぐっと力を入れます。そうすることで力強くおなかを伸ばして立つことができます。次に、「肩をぐっと開きなさい」と指示します。こうすることで胸が開き、深く呼吸することができます。
声を響かせるためには、「口」ではなく、「口の中」を大きく開けることがポイントです。頬骨の横に、顎の継ぎ目の骨があります。ここに手を当てたとき、大きく骨が動くように口を空けます。実際に手を当てさせて指導するとよくわかります。
一通り説明を終えたら、あえて負のモデルを体験させます。背中を丸めぼそぼそと歌わせることで、正のモデルとの違いが実感できます。
スキル3音をずらして、ハモリを体感
変声期の男子は、声が思うように出なくなります。それまで楽しそうに歌っていた子が、「自分は歌が下手になったのではないか」と自信をなくします。
変声は、体の成長に伴って男女ともに起きる変化ですが、男子の方がより顕著で、変声し終わると1オクターブ低くなると言われています。声が変わる途中では、声が裏返ったり高い声が出なくなったりするので、無理に出さなくてもよいことを伝えます。
「1オクターブ低く歌いなさい」という指示だけでは、なかなか歌えません。ですから、教師が一緒に1オクターブ低く歌うか、弾くかして、リードします。そうすると次第に音が掴め、リードがなくても歌えるようになります。
合唱によく出てくるパターンですが、すぐに誰でもできるというわけではありません。若干の練習が必要です。2音(たとえば、ソの2音下はミ)の幅は、何度もその音の幅を聞かせます。感覚的に覚えてしまえば、さらに2音下の音(ソの場合はド)もとれるようになります。
- できるだけ指示を減らし、体験からわかるような仕掛けを
- 「上手にできる」ことではなく、「楽しくできる」ことを切り口にする
長瀬:ありがとうございました。次は算数科のとっておきスキル・立命館小学校の伊藤邦人先生です。どうぞお楽しみに。