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瞬間的記憶力、チンパンジーの子どもは大学生より優れる
kyoikujin
2007/12/4 掲載

 4日の読売新聞の記事によると、チンパンジーの子どもが瞬間的に記憶する能力は人間の大人を上回ることが、京都大霊長類研究所の松沢哲郎所長らの研究でわかったとのこと。松沢所長は、人間は進化や成長の過程で、言語的機能など他の能力を得たのと引き換えに、こうした瞬間的な記憶能力を失ったとの仮説を立てているそうだ。

 実験は、子どもチンパンジー、大人チンパンジー、大学生を対象に、画面に不規則に表示した5つの数字を短時間で記憶させ、隠された数字を小さい順に触れさせるというもの。0.21秒の表示時間では、子どもチンパンジーの正答率が8割に対し、大人チンパンジーは2割、大学生は4割以下だったという。ちなみに0.65秒では、子どもチンパンジー、大学生ともに8割で、大人チンパンジーは5割とのことだ。

 瞬間的記憶と聞くと、1988年のアメリカ映画『レインマン』が思い出される。主人公のレイモンドは重度の自閉症だが、電話帳を丸暗記したり、床にばら撒かれたマッチ棒の数を一瞬で言い当てるなど、驚異的な能力を持つ。彼は実在の人物がモデルにされており、サヴァン症候群と呼ばれる症状のある男性で、実際、数千冊の本の内容の98%を記憶しているそうだ。同症候群を持つ人はこの他にも、100桁の暗算を瞬時にできたり、芸術的な才能に秀でた人もいる(モーツァルトがサヴァン症候群だったという説もあるようだ)。

 話が少しそれてしまったが、松沢所長の言われるように、我々が進化の過程で得た他の能力と引き換えに、瞬間的記憶能力を失ったとするなら残念なことではあるが、我々の社会とチンパンジーのそれとの歴然とした違いを考えれば受け入れるべきことなのかもしれない。
 いずれ研究の成果によって、難病治療の糸口となったり、効果的な学習方法が発案されるなら、チンパンジーの子どもに負けた大学生も報われるというものだろう。

追記

 試しにそれっぽいプログラムを作ってみた。実際の実験ではもっと大きな領域に表示していると考えられるため、このプログラムが表示する程度の範囲では、視線を動かさずとも記憶できてしまうだろう。いい加減な作りなので、正解しても間違っても何も表示されないのだが・・・。

※このプログラムは実際の実験を見て作ったものではありません。利用者に何らかの損害が発生しても、きょういくじん会議は一切の責任を負いません。自己責任でお試しください。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
5件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/12/4 22:17:52
    0.21秒は、表示すらハテナ状態でした。何度かやってようやく納得。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/12/5 9:16:33
    ほんと一瞬ですね。
    私の瞬間的記憶力は相当低いみたいです。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/12/6 12:52:56
    0.21秒では「0」の位置だけだった・・・。人間の子どもは大学生と比べるとどうなんでしょう。
    • 4
    • 藤本忠正
    • 2007/12/9 12:12:10
    0.05秒を挑戦させて頂きました、実に速いです!
    8勝2敗ですが、欲しいぐらい素晴らしいプログラムだと思っています。
    http://www1.neweb.ne.jp/wb/ouo/
    敬具
    • 5
    • 藤本忠正です
    • 2009/1/25 15:39:27
    0.05秒を挑戦させて頂きました…、
    全勝でした。瞬間記憶術のお蔭です。
    http://www.k4.dion.ne.jp/~ohsai/
    敬具
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