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1 今、求められている論理的思考力
子どもたちが文章や作品、言葉に関わることで論理的に思考し、それを表現し合い、自分を高めていく姿が、今、求められている。
子どもたちの学びを考えたときに、教材をなぞっていくだけの授業、内容を確認していくだけの授業、イメージと感覚で発表し合うだけの授業では、その目的を達成することはできない。
そこで、論理的思考力を育てる学習について説明文を中心に考えてみたい。
2 論理的思考力を育てる学習とは
論理的思考力とは、「関係づける力」である。複数の事象や考え方等のつながりをとらえ、文章のもつおもしろさや美しさに気づき、表現する力と言えるだろう。説明文においては、主張と根拠のつながりをとらえ、表現する力と考えている。
では、どうすれば論理的思考力を育てることができるのか。
教材の論理を生かした言語活動を設定することが、論理的思考力を育むことになると言える。その際、「活動」だけに目を奪われてはならない。何より大切にしたいのが、子どもたちの「問い意識」であると言える。
説明文は、ある情報を読者に伝えようとする、まさに「説き明かす」文章である。読者にとって新しい情報が見出されれば、そこに楽しさやおもしろさを感じることができる。しかし、初読段階で得られた読みのイメージは、通読するうちに「わかった」という感覚になり、文章への関心は薄らいでしまう。
授業づくりにおいて、内面性と論理性を結びつけて考えることを通して、「わかった」「なるほど」を感得する読みへと導きたい。そのためには、主体的かつ批判的に評価して読む活動を授業の中核に据える必要がある。
3 授業実践例
そこで、具体的に4年生での授業実践を紹介する。
単元名は「サブタイトルをつけよう!」、教材名は「むささびのひみつ」(学校図書4年上)である。
本教材「むささびのひみつ」は、15段落構成でむささびが自由に木から木へと飛び移る秘密を説明している文章である。文章構成をみると、「はじめ」は@段落で、話題提示となっている。「中」はA〜K段落で、部分の問いがA段落とJ段落におかれている。A段落の問いは、B〜G段落で「飛ぶ」とH〜I段落で「飛び回る」に分けて説明されている。J段落の問いでは、これまでの話題を受けた上で「ところで」と話題転換し、K段落において「木の上でのくらし」を説明している。「おわり」はL〜N段落で、「ゆたかな森の木々」の必要性と、自然の中にいる動物たちのくらし、安全について説明しまとめている。また、L〜N段落では、話題が「むささび」から「動物たち」へと変化しており、内容の抽象化がなされている。
題名と本文とのつながりに着目すると、@〜I段落までは、題名と直接関係する内容であるととらえられる。しかし、J〜N段落は題名と直接関係する内容とは言い難い。文章全体を包括する題名としては、そこに物足りなさがある。
そこで、指導に当たっては、教材がもつ題名と本文とのつながりに着目して「サブタイトルを書く」という言語活動を設定する。その際、J〜N段落の必要性を話題とし、検討することを通して事例(段落)の意義など段落相互のつながりを意味づけしてとらえ、文章を評価する読みを展開したい。
<授業の流れ>
(1) 題名に対する感想を発表する
・題名への問い意識の高まりから、サブタイトルを書く言語活動の必要性をとらえさせる。
(2) 題名と段落との関係について考える
・題名と段落とのつながりについて考えることを通して、J〜N段落への問い意識をもたせる。
(3) J〜N段落の意義や必要性について話し合う
・J〜N段落の必要性について話し合うことを通して、意義について意味づけを行う。
・何のためにJ〜N段落があるのか目的を問うことで、JからN段落の意味づけ、つながりをより意識した評価ができるようにする。
(4) サブタイトルをつける
・題名や本文とのつながりを意識させるため、出されたサブタイトルを題名に続けて声に出して読む。
4 文章を評価する読み
論理的思考力について、授業レベルでより具体的にとらえることは授業者として大切である。説明文において、事例(段落)の意義など段落相互のつながりを意味づけしてとらえ、文章を評価する読みは論理的思考力を育てる一つのアプローチであると考える。