「単元を貫く言語活動」ここが知りたいQ&A
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水戸部先生に聞く!「単元を貫く言語活動」Q&A (8)
これでバッチリ!単元を貫く言語活動を位置付けた情報活用(説明文)の授業
文部科学省教科調査官水戸部 修治
2014/11/19 掲載

物語文の授業については、これまで教えていただいたヒントをもとに、単元を貫く言語活動を位置付けた実践ができるようになってきました。今度は説明文の授業にもチャレンジしたい!と思っています!
 説明文では、段落ごとに読ませて、中心となる大事な語や文をとらえさせたいのですが、「大事な語や文」をどうとらえさせればよいのか分かりません…。

ここで改めて、学習指導要領を見てみましょう。中学年の「説明的な文章の解釈に関する指導事項」は、次の通りです。

イ 目的に応じて、中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え、文章を読むこと。

*緑部分は筆者

 目的に応じて、中心となる語や文は変わってきます。ですから、「何のために読むのか」「何を知りたくて読むのか」といった読み手としての目的意識が重要になるのです。そのためにこそ、例えば「生き物の秘密を調べて報告文にまとめよう」といった、子供にとっての目的意識や課題意識となる単元を貫く言語活動を位置付けることが重要なのです。

読む目的意識をもって、文章を読むことが「中心となる語や文」をはっきりつかむ秘訣なのですね。でも…。筆者の述べる大事な語や文は、押さえなくていいのですか?

そうですね。まず「大事な語や文」とはどういう語や文のことでしょう。これを考えてみましょう。
 
 通常は、「筆者にとっての大事な語や文」だととらえられがちですが、筆者にとっては、文章の始めから終わりまで、すべてが主張するために欠かせない文章です。言い換えれば、すべてが筆者にとって「大事な語や文」なのです。ですから、「筆者が言いたい大事なことを表す言葉を見付けよう」といった指示では、子供たちも迷ってしまいます。
 では、何をもって、中心となる「大事な語や文」を選べばよいのでしょうか?
 
 ここでもう一度、前のQ&Aに戻って考えてみましょう。学習指導要領では中学年の「説明的な文章の解釈に関する指導事項」は以下のようになっています。

イ 目的に応じて、中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え、文章を読むこと。

*緑部分は筆者

 もう分かりましたね。「大事な語や文」を確実に押さえるために、目的をもって文章に働きかけることができるような指導が重要なのです。
 要約する際も同じです。目的に応じて中心となる語や文が異なるわけですから、要約する際も、目的や必要に応じて要約できるようにすることが大切です。
 
 これからの高度情報化社会を見据えると、与えられた説明文の内容を読み取る能力にとどまるのではなく、課題解決に向けて自ら情報を検索したり活用したりする能力の育成が一層重要になりますね。

各学年の発達段階に応じて、子供たち全員が国語って楽しい!と感じられるような、そして目的や必要感をはっきりと意識して取り組めるような情報活用の言語活動にはどのようなものがありますか?

はい。書籍から紹介します!
 『『単元を貫く言語活動を位置付けた 小学校国語科学習指導案パーフェクトガイド1・2年』では、1年生に「乗り物図鑑をつくる」、2年生では「動物クイズをつくる」といった、低学年にふさわしい単元を貫く言語活動を位置付けた事例を紹介しています。図鑑を読めるようにする指導の手立てが満載ですから、是非参考にしてください。
 また、『3・4年』では、3年生で調べ学習、4年生では目的に応じて要約する能力を育成する事例を掲載し、必要な資料や本を選んで活用する授業の在り方を示しています。
 さらに『5・6年』では、6年生に「持続可能な社会への取組について調べよう」という発展的な言語活動の事例を掲載しています。

 授業づくりのヒントが豊富に盛り込まれている事例を厳選していますので、是非ご覧ください。

ここをチェック!授業改善のためのポイント

単元を貫く言語活動を授業に位置付けるには、次のポイントに留意しましょう。

  1. 子供自身にとっての目的意識や必要感を明確にする言語活動を位置付けていますか。
  2. 説明文を読み取らせることにとどまらず、必要な情報を求めて読む学習を位置付けていますか。
  3. 得た情報を基に考えをまとめて発信するなど、情報活用能力を育む指導を位置付けていますか。

水戸部 修治みとべ しゅうじShuji Mitobe

 文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター総括研究官・教育課程調査官・学力調査官。小学校教諭、県教育庁指導主事、山形大学地域教育文化学部准教授等を経て、平成20年10月より現職。
 『「単元を貫く言語活動」を位置付けた小学校国語科学習指導案パーフェクトガイド 1・2年/3・4年/5・6年(全3冊)』『単元を貫く言語活動のすべてが分かる!小学校国語科授業&評価パーフェクトガイド』『「単元を貫く言語活動」授業づくり徹底解説&実践事例24』『小学校国語科 言語活動パーフェクトガイド 1・2年/3・4年/5・6年(全3冊)』など、著書多数。

(構成:木山)
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