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事例面談までにぜひやっておきたい2つの事前準備
■その1 勉強会やコーチングで知識をストック
個人面談で、あるいは教育相談において、自分を責めてしまう保護者の方がいますよね。そんなときは、コーチングの勉強会で教わったことを伝えます。
「自責と他責という言葉をご存知ですか? 自分の責任が50%。相手や環境の責任が50%という意味です。場合によって多少の増減はあるかもしれませんが、基本的にはどちらかだけの責任というのはありえないそうですよ。なので、お母さんだけのせいじゃありません。裏を返せばお子さんのせいだけでもないわけです。ですから、だれだれのせいというように、責任探しするのではなく、どうしたらこれからよくなっていくかを一緒に考えましょう」
もう一つ、ある研究の事実を示します。
「ある研究によると、子どもの育ちに影響を与えるのは、環境5割、遺伝4割、保護者の育て方1割だそうです。1割なので決して小さくはないですが、それよりも、変えていける環境を改善したり、学校と家庭でできることを一緒に考えて実践したりする方がよいと私は考えています。いかがでしょうか」
■その2 ジャブ方式の連絡と子どもの事実の蓄積
個人面談までに、一人一人の子どもの学習、生活に関する写真や映像を撮っておきます。座席表を活用して、子どものよさをメモしておきます。
それを小出しに連絡帳や電話を通して保護者に伝えます。ボクシングでいうとジャブです。
いざ個人面談。
お子さんに対する肯定的な発言を受けた後は、「そうなんです。お母さんがおっしゃったように学校でも成長しているんですよ。例えば、この映像は先日の遠足のときのものなんですが〜(あるいは、この前の算数の授業での1コマなのですが…)」と説明します。
お子さんに対する否定的な発言を受けた後は、「ご自宅では、〜なんですね。でも、学校ではですね、実際にはかなり友達と順調にやっていますよ(あるいは、上手に音読できていますよ。など)」と言って授業や休み時間などの映像、画像を見せます。
子どもの事実を示されることで、保護者は安心します。納得します。同時に教師の姿勢を示すことができ、信頼関係、協力関係はより強くなります。
解説
科学的な根拠を示す
科学的な研究の結果を示すと保護者は安心することがあります。
特別支援に関する教育相談でもそうです。
例えば、ある研究によると「小学校5年生までの学力が身に付いていれば、日本社会ではたいていの仕事をこなすことができる」そうです。そうなると、義務教育修了までに5年生までの学力は徹底するように、保護者と共通の目標ができます。
あるいは特別支援学校、発達に関する専門家(病院、クリニック、大学)に関する知識をもっていくことはとても大事です。ある特別支援の高校では、他の全日制と比べると偏差値としては低いのですが、卒業までにPCのブラインドタッチ、有名カフェでの接客、ビルの清掃、食品加工の基本的なスキルを身に付けるなど、就労に力を入れているところがあります。
発達検査、療育など特別支援に関する専門機関でおすすめの場所を知っておくことで、保護者に質問されたときにスッと提案することができます。
子どもの事実で盛り上がる
個人面談も家庭訪問も、やることは一緒です。子どもの写真や映像があると、話が盛り上がります。子どもの成長について、具体的に、リアルに、わかりやすく説明することができます。
事実に加えて、どんな指導をしてきてこうなったのか、実態を踏まえこれからどのように指導していくか、そんなことが説明できればなお最高だと思います。
最初の保護者会でアンケート
科学的な根拠や子どもの事実以外にも、やっておきたいことがあります。それが、保護者会でのアンケートです。
最初の保護者会でアンケート調査をします。A4用紙半分か3分の1で十分です。
お子さんのことで困っていること。改善してほしいこと。ここを伸ばしてほしいことなどを記入してください。
という説明書きで、生活面、学習面の2つの空欄を用意しておきます。
これを回収して熟読(暗記するくらい)します。これが保護者一人一人のニーズだからです。これを頭に入れて毎日、指導していくのです。
そして、座席表に適宜メモし、それを連絡帳や電話で連絡するのです。
保護者は自分のニーズが満たされるので、喜んでくれます。こうやって関係づくりをしていくことで、先生の教育活動にどんどん協力してくれるようになります。
自分のやりたい実践を円滑に行っていくための、布石づくりでもあるのです。
ここがポイント!
- 研究結果、データ、特別支援に関する知識を知っておくと非常に有効!今月の「言葉のワザ」
- 保護者会でアンケートを行い、ニーズを把握する!
- 保護者アンケートを頭に入れて日ごろから一人一人の変化を座席表に記入してストックする!