- インプット&アウトプット術
- 教師力・仕事術
いよいよメインとなる授業についての話に入っていきます。今回は授業におけるインプット・アウトプットについて考えてみたいと思います。
授業のインプット・アウトプット場面とは?
授業におけるインプットにはどんな場面があるでしょうか? 教科書を読む、黒板を写す、友達や先生の話を聞く…。自分の知らなかったものを、新しく知ること。インプットとは頭になかったものを外から取り入れることと定義して改めて考えてみると、授業の中にもいろいろな「インプット」があることが見えてくるでしょう。
反対に、アウトプットはどうでしょうか? 自分の思いをノートに書く、発言する、挙手をして意思表示をする。その他にも、歌を歌う、リコーダーを演奏する、絵を描く、作品を作るなどもアウトプットになると思います。アウトプットとは、頭の中にあるものを外に向けて表現すると定義できるでしょう。
45分の授業を色分けしてみる
インプットばかりの授業も、アウトプットばかりの授業も辛いものです。先生方が研修に行った際に、一方的に話を聞いているだけでは辛いのと同じです。子どもも、先生の話をずっと聞いているばかりの授業では、なかなか学びは深まりません。そもそも、きっと途中で話を聞かなくなり、他のことを考え出してしまうでしょう。
そこで、自分の構想した授業を色分けしてみて、インプットとアウトプットの割合を考えてみてはいかがでしょうか。国語の授業を例に考えてみます。
インプット アウトプット
4年生の国語授業(45分)
(1)新出漢字(5つ覚える)…10分
(2)漢字ミニテスト…5分
(3)「ごんぎつね」を読む…10分
(4)ごんの気持ちを考える…10分
(5)みんなで話し合う…15分
(6)まとめ…5分
厳密に言うと、インプットなのかアウトプットなのか迷う活動もありますが、こうやって色分けしてみると、インプットとアウトプットのバランスや順番がはっきりとわかります。慣れてきたら、頭の中でバランスを考えていけるようになります。
子ども達の中には、インプットが得意な子もいればアウトプットが得意な子もいます。人前で表現するのは得意だけれど、じっくりと読み取るのは苦手な子や、本をじっくり読んで考えを深めるのは得意だけれど、発言するのは苦手な子。どちらのタイプの子もいて良いのですが、苦手な部分も少しずつ伸ばせるといいなと思います。インプットとアウトプットのバランスをうまくとった授業で、収束と発散を繰り返しながら、学びを深めていきたいものです。
単元もインプットとアウトプットで考えてみる
1つの授業単位で色分けして考えることができたら、今度は1つの単元でも、インプットとアウトプットのバランスを考えてみます。生活科の「あさがおを育てる」という単元を元に、同じように色分けしてみます。
インプット アウトプット
あさがおを育てる(全13時間)
(1)色々なたねを見比べる…1時
(2)たねの観察記録をとる…2・3時
(3)あさがおの世話をする…4〜7時
(4)葉っぱの観察記録をとる…8・9時
(5)花の様子を伝える…10・11時
(6)たねをとる…12・13時
こうやって色分けしてみると、単元にもインプットとアウトプットの時間があることがわかります。結局は新しい知識や情報を頭に入れる場面と、頭から出す場面に分けられ、それを横断し循環することが学びに繋がります。
子どもにアウトプットの重要性を伝える
次のイラストのようなものを黒板に描きます。
子どもにインプットとアウトプットの違いについて説明します。そして、学びを深めるためにはどちらも大切なことを伝えます。例えば、100個の単語を覚えていても、2個しか答えることができなければ、テストでは2点になること。10個しか覚えていない子でも、テストで10個答えることができれば10点になること。2つのパターンを伝えると、アウトプットの重要性がより明確になると思います。
インプット・アウトプットの時間を黒板に明示する
慣れるまでは、黒板にインプット・アウトプットの時間をわかりやすく表示します。見える化しておくことで、今は頭に入れる時間、今は頭から出す時間ということがわかりやすくなります。
大きめに作って黒板に貼ります。
都道府県名を覚える授業では、「東北地方を覚えよう!」と言って、15分間でインプットします。15分経過後に、アウトプットの表示にしてみんなでテストをします。テストと言っても、ペーパーテストではなく2人ペアで確認し合う時間や、先生に対し口頭で答える時間。家でも家の人に向かって東北地方の県名を伝えてOKならサインをもらうなどします。
今月のポイント
- インプットとアウトプットを構造化しよう
- 授業・単元をインプット・アウトプットで仲間分けしてみよう
- 子どもにもそれぞれの働きを伝えることで、授業で何をしているのか明確にしよう