- 菊池道場の価値語録
- 学級経営
いよいよ一年間を束ねていく時期になりました。「個」としての成長をふり返りつつ、新たなステージに向けて準備を重ねる時期にしたいですね。今回は、確立した「個」として公に向かう力を育てる価値語録です。
「あえて」に強くなろう
挑戦すべきかどうかを迷うことは誰にでもあります。しかし、やってみない限り、成功も失敗も経験できません。「あえて」を合言葉に、みんなで挑む教室をつくりましょう。
学校の中には、自分がやらなくても何とかなることがたくさんあります。例えば、自分が挙手をしなくても、別の誰かが挙手して発言することで、授業は進みます。あるいは、学級代表や委員長といったリーダー的な役割に立候補しなくても、別の子が立候補していればその子に任せることができます。紙くずが一つ落ちていても、他の誰かが拾ってくれるかもしれません。しかし、そのままでは「する子」と「しない子」の二極化が進むばかりです。迷っても、勇気を出して「あえて」やってみる。そんなチャレンジ精神の旺盛な子を育てたいものです。「あえて」を合言葉にすることで、これまでよりもさらに成長した自分を目指す心を育てましょう。
腐ったリンゴになるな
リンゴは腐るとガスを出し、周囲のリンゴも腐らせていくそうです。周囲に対してマイナスの影響ではなく、プラスの影響を与えられるような自分を目指しましょう。
教室の中にまだ「群れ」の傾向があるときには、例えば教師が「廊下に整列しましょう」と声をかけると、ふら〜っと一度友達のところに行ってから廊下に並ぼうとする子がいます。あるいは、「起立」という指示が出たとき、ぐにゃぐにゃと体を動かしながら立ち上がったかと思えば、後ろや横を向いて隣の子にしゃべりかけたり、不必要なアイコンタクト等を送ったりする子がいます。さらには、話しかけられた子までうっかりその行動に流されてしまい、学級の中にマイナスの雰囲気が漂ってしまうことがあります。このように一部の不適切な言動は、時として周囲にマイナスの影響を及ぼすことがあります。教室はプラスの方向に向かってみんなで切磋琢磨する場所ですから、「腐ったリンゴ」ではなく、シャキッとさわやかで、しっかりとした芯のある「フレッシュなリンゴ」を目指したいものですね。このような比喩表現は目指すべきイメージを子どもと教師、子ども同士で共有する上で大きく役立ちます。
FMCを意識せよ
人はF(父性的)、M(母性的)、C(子どもらしい)側面を持っています。自分の中のFMCのバランスを意識してコントロールすることで、公に通用する人を目指しましょう。
FMCの話をした(確認した)後、「それぞれ10点満点で考えると、今のあなたはどの部分の点数が高く、どの部分の点数が低いですか。もちろん点数が高ければよいとか低いからダメというわけではありませんよ」と問うことがあります。時間があるときには、ノートに自分の考えを書かせることで、「今の自分」を客観的に見つめ直すきっかけにすることができます。
「ぼくはいつも遊ぶことばかり考えているから絶対Cが強いなぁ」「私はまだ自分の考えを伝えることが苦手だからFの力を伸ばしたいです」など、自分自身を見つめ直した子たちは、自然と次に「じゃあ、これからどうしたらいいかな」と考えるようになります。教室は公の場であり、時と場に応じてFMCを意識的に出したり抑えたりすることが求められます。時と場に応じた自分自身のFMCのバランスを意識し、コントロールすることで、公に通用する力を高めたいですね。