【聞く力】
「聞くことの力」を身につけさせる指導の難しさを感じています。特に他教科等での学習の基礎となる「メモを取る力」を身につけさせるための手立てはないでしょうか?
ココがポイント!
話すこと・聞くことの指導は〈必然性を感じさせる〉場を活用することが重要
言語活動の重視にともなって、話すこと・聞くことの教材が増えました。「学級会を開こう」などの教材がありますが、どうしても「とってつけたような」学習活動になりがちです。子どもたちに〈必然性を感じさせる〉のが難しいためです。逆に言うと、〈必然性を感じさせる〉場を活用することが重要だということになります。
効果抜群! 堀江式 大ワザ&小ワザ
ワザ1 全校朝礼での校長先生のお話のメモを頭の中で取らせる
〈必然性を感じさせる〉場を活用した学習活動として、「全校朝礼・始業式などにおける校長先生のお話のメモを取らせる」ことが挙げられます。次のような特色を持っています。
- 校長先生という、「学校の中ではちょっと特別な存在である人」の話であり、しっかりと聞こうという〈必然性を感じさせる〉ことができる。
- その場ではメモを取れないため、話をしっかりと聞かなければならない。
- 話のキーワードを選択し、頭の中に記憶しなければならない。
- 自分たちに関係のある話題が扱われるため、「自分の考えを書きましょう」という学習活動に展開することができる。
ワザ2 メモをもとに「自分の考えを書きましょう」という学習活動に展開する
「『香住小学校の歴史』を聞いて」のメモ例(兵庫県香美町立香住小学校5年・井上京子学級において生み出されたもの。山本真校長)には、「新校舎完成に関する校長先生のお話」が3項目メモされています。この学習活動は国語の時間に行われました。「3項目のメモ」という数の指定も教師のワザのひとつ。さらに、「自分の考えを書きましょう」という欄が用意されています。しっかり聞き取り、メモしたものをもとに、「自分の考えを書く」という言語活動まで展開したいものです。さらに注目したいのは、「私も中央公民館の大松が香住小学校のものとは、しりませんでした。」という、友だちからのメッセージが添えられているところです。自分自身もメッセージを書かなければいけないので、よりしっかりと話を聞くようになります。
(構成:林)
子どもは必要性を感じないとなかなか話を聴こうとしません。われわれ教師は話を聴かせるように工夫しますが、興味を持たせすぎると口をはさむ・・・
話を聴かせることは、永遠の課題です。
メモをもとに「自分の考えを書きましょう」という学習活動に展開するのも「聞く」ことにとどまらず、聞いた内容を書くのは国語を適切に表現し理解する力を育成につながるでしょう。
校長先生という人物や、その場でメモをとれないという状況から生まれる「集中して聞く必然性」、3項目のメモという指定から生まれる「考えながら聞く必然性」、そして自分たちに関係のある話題が扱われることから生まれる「自分に関連づけながら聞く必然性」。
これらの必然性が重なり合うことによって、価値のある「聞くことの指導」が可能になっているのだと思います。