国語の先生ならば、どなたでも「記述式問題」や「課題作文」の採点で頭をかかえた経験があることとお察しします。
自分の生徒の採点だけでもおおごとなのに、ましてや全国百万人ともなると、その労苦は計り知れない。学力調査の採点現場では、採点基準の見直しや改訂が何度も行われているらしいということを、朝日新聞が「人材派遣会社の採点スタッフからの情報」として報じている。
学力調査の問題は文部科学省のサイトで公開されている。
中学3年・国語B問題は全10問中記述式が3問。
一つ目は、写真入りの表に触れながら自分の考えを書く問題。
二つ目は、芥川の「蜘蛛の糸」の一場面の要不要についてその理由を説明する問題。
三つ目は、書店の広告カードを見比べて違いを説明する問題。
三つ目の問題は、どの部分に着目して比較すればよいのかが設問文中に明記されており、書く内容はある程度限定されそうだ。
しかし、ほかの二つの問題は生徒によってさまざまな考え・理由が出てきそうである。設問に、参考となる表や文章に触れつつ答えよという趣旨の指示があるが、どこまで言及すれば「触れた」ことになるのかという点も判断が難しい。たとえば表や文章を全く直接引用していなくても、全体的な内容としては元の表や文章の内容の延長であり、意味が通じる……という解答も考えられるだろう。
記述式の問題は、マークシートのように「Aなら○、それ以外は×」というふうに機械的にマルバツをつけるわけにはいかない。そして、どうしても採点者ごとに基準の差異が生まれてしまう。採点者の数が少なければ採点基準の意思統一も不可能ではないだろうが、全国レベルでの採点となると、採点者数も桁が違う。そして、百万人の生徒たちによる百万通りの解答。予想外の珍答・怪答の数も半端ではないだろう。
統一された採点基準のいちはやい確定と、その徹底による公平な採点が行われることを期待したい。
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それを100万人分徹底出来るかというとはなはだ疑問ですね。
なんのために多額の税金を投入して調査しているかという意味を考えると、明確な採点基準を設けられない問題は不向きといわざるを得ないですね。
結局、保護者の矢面に立つのは教員か…。
個別の結果は開示されなかったような。