きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
仏教? 日本民俗? お盆の由来
kyoikujin
2007/8/13 掲載

 お盆について、みなさんはどれくらい知っているでしょうか。親戚が集まって、お墓参りをして、盆踊りをする…こんなイメージをもっている方も多いのではないでしょうか。
 お盆は、仏教の影響が強い行事ですが、実は、古い日本固有の信仰と深い関わりのあるものなのです。
 イメージはわくけれど、由来のよくわからないお盆について、調べてみました。

 『民俗学辞典』(1951年1月、民俗学研究所編、東京堂出版発行)によると、盆行事とは仏教の盂蘭盆(うらぼん)の略で、苦を受ける死者のために祭りを行い、三宝に供養してその苦から助ける行事であると説明されています。推古天皇の時代にすでに行われていた記録があるそうです。
 一方で、インドの農耕儀礼の祭りと習合したものであり、農耕儀礼的な性格から日本の固有信仰とも自然に結びついたらしい、としています。またお盆は精霊を迎える行事であり、「盆」とは、古くボニと呼ばれた供物をのせる器物からきた日本語ではないかとも考えられるそうです。

 日本では精霊や神は去来するもの、と考えられてきました。例えば田の神は春に呼んで豊作を願い、秋に実りのお礼をして送り出すのです。一方で、仏教には一度成仏した魂がこの世に戻るという教えはないそうです。ですからこの時期に祖先の霊が戻ってくるからそれをお祭りするという考えは、仏教ではなく日本の民俗信仰のものだったのです。迎え火、送り火、きゅうりの馬になすの牛、などももともとは仏教とは関係なさそうです。

 また、お盆といえば盆踊りですが、これは老若男女が踊ることで、盆に招かれてくる精霊を慰め、また送る踊りと考えられているそうです。もとになったものに念仏踊りがあり、ここからも仏教と日本民俗の融合が伺えます。農漁村では少ない娯楽のひとつとして楽しまれていたようですが、明治、大正の取締りで次第に衰えてしまったそうです。以前はもっと盛大に、村をあげて行われていたのです。

 お盆は田舎に帰ってお墓参りをする、なんて方も多いのではないでしょうか。古くからの日本の行事として残るお盆について、ご先祖様のことなどと一緒に、子どもと話をしてみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/8/19 22:45:07
    学校ではお盆のこととか、ほとんど教えないんだろうな。まあ、もともと学校で教えるものではないか・・・。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/8/20 8:38:27
    時期もありますし、宗教が絡みますからね。
    学校より家庭で教えられるものですね。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/8/21 8:58:33
    盂蘭盆(うらぼん)はサンスクリットの「ウランバール」が語源と読んだことがあるけど、今思うとあまり信憑性がないのかな?
コメントの受付は終了しました。