きょういくじん会議
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受け入れ先確保に苦労も? 中学生の職場体験
kyoikujin
2007/9/25 掲載

 公立中学校における職場体験が各地で活発になってきており、成果も上がっていると考えられる一方で、現場では、受け入れ先の開拓や体験時間の確保といった課題も残されていることが国立教育政策研究所生徒指導研究センターの行った「職場体験・インターンシップに関する調査研究」(PDF)で明らかになっていた。

 この調査は、同センターが全国の国・公・私立の中学校及び高等学校を対象に平成18年度の中学校職場体験・高等学校インターシップの全国的な実施状況を平成19年3月現在で取りまとめたもの。
 これによると、公立中学校における職場体験の実施率は、前年度を2.2ポイント上回る94.1%となり、実施期間も文部科学省が平成17年度から推進している「キャリア教育実践プロジェクト(※)」の成果を反映し、「5日」以上の実施校が17.1%と前年度の1.4倍に増加していた。
 また、職場体験の成果については、職業や働くことへの関心が高まったり、将来や生き方を考えるようになったりするなど一定の成果をあげていると評価されていることがわかった。

 公立中学校での5日以上の職業体験の実施率が100%を誇るのは、富山県と兵庫県、政令指定都市では京都市と神戸市。
 例えば富山県では、富山県教育委員会が推進する「社会に学ぶ『14歳の挑戦』」事業(PDF)として、職業体験、福祉ボランティア体験活動を実施。その運営にあたっては、推進委員会を設置したり指導ボランティアを配置するなど、支援体制を整えている。このような地方自治体による支援は増加傾向にあるという。

 とはいえ、富山県のような例はまだ少数派。全体の6割近くは実施期間も1〜2日で、4分の3近くが地方自治体による支援を受けていない。校外・校内(PTAや保護者会)どちらからも「支援は受けていない」という学校も4割近くあった。受け入れ先の開拓については「学校による開拓」が9割近くで、学校が主体で開拓しつつ保護者の紹介も受けて受け入れ先を確保しているケースが多いことがわかった。
 なお、中学生の職業体験実施における課題として最も多く指摘されたのは「受け入れ先の開拓や連絡(73.7%)」、次いで「体験時間・日数の確保(40.1%)」や「教職員の負担(28.7%)」などがあげられており、実施にあたっての現場の苦労が伺われる結果となった。

※文部科学省は平成17年より「キャリア実践教育プロジェクト」を実施。各都道府県・指定都市において、中学校を中心に、5日間以上の職場体験の実施等を通じ、キャリア教育の推進をはかっている。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
4件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/9/25 17:10:03
    こういう指導要領にないことを教師に抱え込ますから、どんどん忙しくなって本業の授業が疎かになるのでは・・・。
    国全体としても、民間でできることは民間にと小さな政府を目指すのが今の流れですが、学校も小さな学校を目指して目標を精選して業務をスリム化した方が良いのでは思います。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/9/25 17:22:41
    職場体験という制度はよいと思います。しかし、環境が整っていないせいか、義務になっているようで、目的が達成できているとは思えません。それだけに、先生の負担が増えるというのは疑問です。

    受け入れ側も中学生に気を遣うようです。場合によっては「お客様対応」せざるを得ないこともあるとか。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/9/26 12:54:50
    職場体験が良いのはわかるけど、なんで学校にやらせるのかな。
    どっちかというと厚生労働省の管轄じゃない?
    教育再生会議で「社会総がかりで〜」と言っていたけど、学力以外の部分では賛成。
    もっと分担するべき。
    • 4
    • 白夜行
    • 2007/9/29 18:58:15
    子供を職場体験なんて言う前に「教員自身が3年程、民間企業や異業種で生計を立てる経験」をさせるほうがいいと思います。
    勿論、法律で義務化してそれを体験した教員を正式雇用する補償も併せる。
    教師の質(世間を知る)の向上にもなり、他人への接し方もよくなると思います。
    その教師が生徒に企業や世間の話を聞かせてあげればいいのでは?
    仮にインターンを法律で義務化しても、実際に受け入れる処なんて、見かけのよい企業だけでしょうし、仕事のジャマでしょう。お客さん扱いして企業の広報活動止まりでしょう。
    しかし、現実は、生きる為には不本意な業種に就く人が多いのです。希望通りの業種に就ける人は少ないのです。そうした世の中を知るべきなのは生徒ではなく教員の方ではないでしょうか?
    目線が上にあり生徒がどうだとか言う前に己はどうあるべきかという発想はないのでしょうか?
    防衛大や自衛隊幹部学校の教育・部下管理術では「幹部は管理者であり教育者である」と必携に定められています。後者の教育理念は「孫子」と「呉子」の思想を基盤にしています。前者は絶対的に厳しい規則遵守での人心掌握方法、後者は慈愛による人心掌握方法です。机上のケーススタディーやリベートだけでなく、寮生活で徹底的に叩き込まれます。
    人間は、文字や言葉よりも態度や行動に感銘を受け、やる気や目的意識を持つと思います(動物の本能かな?)。
    長々と書きましたが、上記のような理由や背景から、小職は「中学生のインターン云々より教員の3年程異業種勤務の義務化」のほうがマシだと思います。
    P.S.
    同じような環境で同じような経験で同じような情報のなかで育った人は同じような人ばかり。だから、そんな中で立場の弱い人を見つけたり、立場の弱い生徒を云々言う暇があるのでしょうか?
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