きょういくじん会議
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全国学力テスト―算数・数学の調査結果をどう捉えるか
kyoikujin
2007/10/26 掲載

 今年4月24日に実施された、「全国学力・学習状況調査」の調査結果が、24日、全国の小中学校に一斉に届けられた。
 算数・数学については、算数A(主として「知識」に関する問題)の全国平均正答率が約82%と、実施された8カテゴリの中で最高の数値を示した一方で、実施直後から厳しい結果を予想する向きの多かった数学B(=主として「活用」に関する問題)は約61%と、最低の数値を示し、予想に違わぬ厳しい結果となった。

算数の調査結果から

A問題―四則計算は◎、でも…

 正答率82%と全体としては高水準の結果を示したA問題。
 しかし、数の「意味理解」や、問題文からの「立式」など、過去の大規模学力調査などでも要改善とされてきた点が、やはり今回も課題点として挙がった。
 また、できがよかったとされる加減乗除のいわゆる四則計算だが、今回の問題には、苦手な児童が多いとされる、小数同士の除法や、異分母分数の加減の問題などが含まれていなかったという点も考慮する必要がありそうだ。

B問題―A問題ではできたはずの問題が…

 昨日のNHKの9時台のニュースでも取り上げられた、大問5(3)の、公園の面積を比較する問題。
 平行四辺形と長方形の面積を求め、大小を比較するだけの、比較的単純な問題だ。また、A問題で出題された平行四辺形の面積を求める問題の正答率も約96%と高かった。
 それにも関わらずこの問題の正答率が低かったことについて、文部科学省は、

  • (求積に必要な数値が離れた場所に書いてあったり、逆に必要のない数値が含まれていたりする状況の中から)必要な情報を取り出して面積を比較すること
  • (言葉や式などを使って)説明すること

に課題があると分析している。
 前者は、いわゆる「PISA型読解力」に関わる課題、後者は「数学的な表現力」に関わる課題で、いずれも、大詰めに差し掛かった学習指導要領改訂の検討段階でも、改善の必要性が指摘されてきた。

数学の調査結果から

A問題―課題は「意味理解」

  A問題4カテゴリのうち、唯一正答率が80%を下回る結果となった。
 文科省による結果分析で目立つのが、文字式、方程式、確率などの「意味理解」に関わる課題だ。
 たとえば、大問2(3)は、与えられた文字式が図形上でどのような意味をもつかを問う問題。文字式の意味理解については、かなり以前から課題が指摘されてきたため、現行の各社の教科書にも、文字式の意味を直観的に捉えられるように図形を用いた説明が多く見られるが、このような工夫が反映される結果にはならなかった。

B問題―目立つ記述式問題の無解答率

 全体の正答率が低かったこともさることながら、とりわけ目立つのが、国語B問題の倍以上の約22%にのぼる、記述式問題の無解答率だ。
 B問題の総問題数17問中記述式問題は7問、このうち約22%が無解答ということは、全体で見ても無解答だけで約9%のポイントを失っている計算になる。
 日本の生徒の数学のテストにおける無解答率が国際的に見ても高いことは、過去の国際的な学力調査でも明らかにされている。

 また、数学については、生徒に対して行われた質問のうち、「数学の授業で学習したことは、将来、社会に出たときに役に立つと思いますか」という質問に対する肯定的な解答の率が、算数や国語の同じ質問に対する解答と比べて目立って低く、テスト結果の良し悪しとは別次元の、数学教育の大前提に関わる大きな課題が浮き彫りとなった。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/10/26 14:32:05
    「数学の授業で学習したことは、将来、社会に出たときに役に立つと思いますか」

    こんな愚問を文科省が自ら子どもに聞いてどうしたいのでしょうか。
    だったら全ての教科を実学にして、数学はやめて簿記でも教えればと。
    義務教育ってそういうことじゃないでしょと、小一時間・・・。
    • 2
    • りがく
    • 2007/10/28 22:52:42
    数学の嫌いな文系の数学の先生に数学をならう生徒がかわいそうです.
    • 3
    • りがく
    • 2007/10/28 23:07:57
    現在の数学指導内容は
    @系統性を欠き,断片的内容
    A生活年齢を無視
    となっています.
    ですから,
    @以前と比較しない
    A観点別評価にしています.
    科学的には何の価値もない報告です.

    教育学部の大先生方しっかりしてください.
    あなたたちがつぶしたのですよ.

    理系から見るとそう見えます.
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