先月19日、厚生労働省が放課後児童クラブ(学童保育)の初のガイドラインを策定しました。
ガイドラインが策定された背景の1つに、学童保育への入所を希望する児童の増加に施設整備が追いつかず、一部で大規模化が問題になっていることがあげられます。この点についてガイドラインでは、「1クラブの規模については最大70人まで、集団の規模については40人程度までが望ましい」ということが明記されました。
以前きょういくじん会議の記事でもお伝えした通り、厚生労働省は7月に「ガイドライン案」を発表、意見を募集しました。これをふまえ策定された今回のガイドラインですが、その内容はほぼ原案通りのものになっています。
例えば、寄せられた意見の中には、「屋外の遊び場」や「必要な設備・備品」といった施設面や、職員体制などについてももっと具体的に基準を示すべきといったものもありましたが、各クラブによって実施場所や子どもの年齢構成などそれぞれに状況が異なるという理由から、これらの基準を明示するのは見送られたとのことです。(詳しくは「結果公示案件詳細(厚生労働省)」をご覧ください。)
それにしても、保育園(認可保育園)では施設の広さ、保育士の数、給食設備などの一定基準が設けれているのに対し、これまで学童保育に国が定めた基準が何もなかったのかと不思議に思う方もいるかも知れません。
それもそのはず、学童保育を直接規定する法律ができたのは、実はここ最近のことなのです。
もともと学童保育は、必要とする保護者が自分たちで行っていたもの。それがだんだんと普及・定着し、地方自治体が運営するもの、法人が運営するものなど、多様な形態となって広まりましたが、長い間法制化はされていませんでした。
児童福祉法等の一部改正により学童保育が「放課後児童健全育成事業」として法制化されたのは1997年のこと。1998年4月より、学童保育はようやく児童福祉法と社会福祉事業法に位置づく事業となったのです。
法制化から10年の現状はというと、全国学童保育連絡協議会の2006年学童保育に関する実態調査報告(PDF)によれば、法制化以後減ってきたとはいえ、地域運営委員会(※)や父母会が運営主体となっているところもまだ4分の1近くあるとのこと。自治体で学童保育の施設設置について何らかの基準を設けているところはまだ全体の2%ほどで、開設場所がアパート・民家というところも全体の1割近くあるという状況です。
多様な形態があるがゆえ、国が一律に基準を設けるのは難しさもあることでしょう。まだまだ課題の多い学童保育ですが、今回のガイドライン策定は、改善に向けて一歩前進といえるのではないでしょうか。
※学校長や自治会長などの地域の役職者と父母会の代表などで構成する運営委員会で運営する方式。日常の運営は父母会が行っているところがほとんど。
- 全国学童保育連絡協議会
http://www2s.biglobe.ne.jp/~Gakudou/
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- 名無しさん
- 2007/11/21 9:01:57
今年は東京であった学童保育の全国大会も盛況だったようです。保護者パワーのすごさをつくづく感じました。