出産や育児のために退職した女性の中には、育児が一段落したら元の職場に戻りたいと考えている人が少なくない。そんな女性たちに朗報がある。近年、再雇用制度を新設・拡充し、退職者の復職を促す企業が増えているのだ。
23日の毎日新聞の記事によると、退職から復職までの離職期間を大幅に延長した例として紹介されているのは、帝人、東レ、サントリーの3社。離職期間は、これまでの3年から10年に延長されたという。期間が3年では、子どもがまだ小さく、復職という決断にはかなりの勇気が必要だ。しかし10年ならば、子どもも親の手を離れ、そろそろ職場復帰したいと考える女性が多いだろう。また、離職期間が10年あれば、その間に2人目・3人目の子どもを持つことも夢ではないだろう。
今、再雇用制度の充実が広がりをみせているのはなぜだろうか。企業は、団塊の世代の退職により、仕事に精通した社員を短い期間で大量に失う状況にある。出産や育児で退職した女性社員は仕事の経験者であり、即戦力となる。加えて、数年間のブランクがあっても仕事に復帰したいという意欲を持っており、企業にとって「是非とも欲しい」人材なのだろう。
一方、復職希望の女性たちにとって、正社員として復帰できることは非常に魅力的である。また、「やりたかった仕事にやっと就けたのに、出産のためにすぐに退職することになってしまった。」、「以前の仕事が好きだから、また同じ仕事をしたい。」という人も多いだろう。復職希望者は以前から大勢いたはずだが、団塊世代の退職などを受けて、企業の側にも人材を確保したいという思惑が生まれ、再雇用制度の拡充に力を入れる運びとなったのだろう。
このように、出産や育児で職を離れた女性が元の職場に戻れるチャンスが生まれてきてはいるのだが、仕事復帰したい女性にとって気がかりなのは、放課後の子どもの居場所である。厚生労働省が先月発表した「放課後児童クラブガイドライン」によって、学童保育所の環境面の改善は期待できそうだが、運営費の確保が追いつかないという不安が残る。
例えば、毎日新聞の9日の記事からは、学童保育所の運営補助金捻出に、国も自治体も悲鳴をあげている現状が伝わってくる。また、23日の記事では、札幌市が来年度から学童保育所への助成金を削減することが報じられている。これを受けて、運営を続けられなくなる学童保育所も出てきそうだ。不安が現実となった例と言えるだろう。
再雇用制度が拡充されても、子どもの放課後の居場所を確保できないのでは、安心して仕事に復帰することはできない。企業の再雇用制度に加えて、学童保育所の充実にも期待したい。
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年齢ではなく勤続年数で計算すればあまり問題ないですが。