きょういくじん会議
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高校生の就職内定率上昇―依然として未解決の問題も
kyoikujin
2007/12/11 掲載

 今年も去年に引き続き、就職に有利な年と言われています。しかし、7日の毎日新聞には、「高校生の就職内定率は上昇したが、地域格差が拡大した」という内容の記事が掲載されていました。記事の元になった調査を詳しく見てみると、地域格差以外にも問題点があるようなのです。

 就職内定調査は、日本高等学校教職員組合と全国私立学校教職員組合連合によって実施されました。日本高等学校教職員組合のホームページに掲載されている調査の詳細によると、この調査は、来年3月卒業予定の生徒の、10月末時点での就職内定状況を調べたもので、28道府県の43校から得られた回答に基づいています。その結果、内定率は、71.3%(男子76.3%、女子63.8%)で、昨年度同期比1.4ポイント増という数値が出ています。内定率は改善しているのですが、その陰には、下記に示すように、格差を含む様々な問題が潜んでいます。

  • 派遣・契約・請負社員といった不安定雇用求人の増加
  • 県外求人の増加
  • 事務職求人の減少、製造業求人の増加
  • 地方雇用における求人の都市部集中
  • 経済的理由で進学をあきらめ、就職する生徒の増加
  • 女子の正規雇用が減少し、男子との格差が依然大きい
  • 内定率の地域格差が大きい
    (北海道・東北53.7%、北陸・中部・東海86.4%)
  • 内定率の学校種別間格差が大きい
    (全日制普通科57.4%、全日制職業科81.7%)
  • 定時制・通信制の生徒の内定率は46.0%と低い
  • 障害児学校高等部の内定率は22.1%と低い

 内定率は2003年度から年々上昇していますが、上記のように根本的に改善されていない問題も数多くあります。不安定雇用の増加や様々な格差は看過できるものではないでしょう。内定率の上昇という側面だけにとらわれず、行政・企業・学校がそれぞれの立場から、これらの問題を解決するための取り組みに今後も力を入れていく必要があると言えそうです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/12/14 13:40:37
    教職員組合が調査しているあたり、少し違和感を感じました。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/12/18 11:11:54
    教職員組合としてはできるだけたくさんの生徒に希望通りの就職をさせてあげたい、そのためには政府とか企業とかにもっと頑張ってもらいたいという気持ちがあるのでは?
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