児童生徒が犯罪に巻き込まれる可能性がある「携帯電話」。便利さの裏側にある危険を少しでも抑制しようと、携帯電話各社は今夏から18歳未満の加入者には原則フィルタリングサービスを導入する予定ですが、その方法については目下様々な議論が飛び交っています。
「携帯でネット」が当たり前の子どもたち
内閣府の平成18年の調査(PDF)によると、携帯電話でインターネットを利用している小学生は27.0%、高校生は95.5%以上と、数年前に比べて非常に多くなっています。
青少年が携帯を通じて犯罪に巻き込まれる件数も増加しています。21日の読売新聞の記事のように、小中学生自身が興味本位で出会い系にアクセスしてしまうケースもあれば、一見無害なブログやプロフィールサイトが出会い系として機能し、犯罪の温床になってしまうことも。
ですが、2007年11月の産経新聞の記事によると、最も情報化が進んでいると思われる都内ですら、中学生のフィルタリングサービス導入率は2割に留まっています。
総務大臣要請の波紋
これらの状況の中、増田総務大臣は2007年12月フィルタリングに関する改善を要請し、携帯電話各社は、この要請をほぼなぞる形でフィルタリングサービス向けた取り組み を対応策として発表しました。
同様の要請はこれまでもなされていましたが、今回のものは一段と厳しくなり、原則18歳未満の加入者にはフィルタリングサービスを受けさせ、解除するためには保護者の承認が必要になります。
これは、10代を主な対象とするサービスの事業者に大きなショックを与えました。この形でフィルタリングサービスが導入されれば、SNS機能を備えたサイトは一律でフィルタリング対象となり、各種のブログ、「ケータイ小説」などのサイトが、有害サイトと同様に見られなくなってしまうのです。
※SNS機能=コメントやメール機能など、ユーザー同士がコミュニケーションを出来るサービスを指す。SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービスの頭文字。
子どもの安全のために…
1月22日のITmediaの記事によれば、SNS機能を備えた携帯電話ゲームサービス「モバゲータウン」を展開する株式会社ディー・エヌ・エーの南場社長は、今回のフィルタリングの厳格化によってユーザーが激減すると予想されたため、「1500億円の株主価値が1週間で失われた」と話しています。1月29日の産経新聞の記事によれば、このような経済効果を重く見たのか、総務省は「過剰な規制ではなく、真に有害なサイトのみを規制する方法で」という方針を固めました。
とは言え、SNS機能が備わっている限り、いくら健全と思われるサイトでも悪用される可能性があることは、過去の事件の例を見ても明らかです。フィルタリングの方式については、今後も議論が続きそうです。
1日の産経新聞の記事にあるように、どんなにフィルタリングが規制されたとしても、必ず抜け道はできてしまいます。「フィルタリングがあるから安心」と思うのは大間違い。もっとも大切なのは、子どもと保護者一人一人がネットでの危険性を認識し、危うきに近寄らないことでしょう。以下に参考サイトをいくつか掲載しました。ぜひ、親子でご覧になってみてください。
- あぶない!出会い系サイト(警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/deai/index.html - ケータイ安全教室・教材ダウンロード(NTT DoCoMo)
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/csr/social/educational/safety/manual_downl... - インターネットを利用する方のためのルール&マナー集 こどもばん・大人版(財団法人インターネット協会)
http://www.iajapan.org/rule/ - サイバー犯罪についての教育ビデオ(NPO法人ポリスチャンネル)
http://www.police-ch.jp/video/3/ - PCより深刻? 携帯電話フィルタリング導入のススメ(2007/11/25)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070411 - 出身中学は書いてもOK? ブログ・プロフを持つ中学生(2007/8/14)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070188

子ども目当ての大人もたくさんいるようで、規制は仕方ない気がします。
1500億円の株主価値? そんなの子どもへの悪影響を考えたらどれほどの価値があるのかと・・・。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/01/news120.html
結局一人一人がモラルと情報活用力をつけなくてはいけないという点で、きょういくじんさんと同意見です。