きょういくじん会議
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正しい使用方法を―スリングで脱臼の恐れ
kyoikujin
2009/2/9 掲載
スリングで抱っこ。―赤ちゃんとママのハッピースタイル!

 2008年10月3日の東京新聞では、スリングの誤った使用方法が、新生児の股関節脱臼の可能性を高めると報じています。

 スリングとは、赤ちゃん用の抱っこ紐のこと。幅広の布を輪にした形で肩から斜めがけにし、布がハンモック状になったところに赤ちゃんを入れて抱きます。手軽でお洒落なので人気があるようです。

 股関節脱臼とは、大腿骨がその受け皿となる骨盤内の骨から外れた状態のこと。
 症状としては、股の開きが悪い、左右の脚の長さが違う、左右でおしりのしわの数やふくらみが違う、膝を曲げて股を開くと音がする、おむつがつけづらい、脚がまっすぐに伸びている、おかしな歩き方をする、歩けないなどがあります。歩くようになって初めて分かるというのは、少し怖い気もします。

 そしてこの股関節脱臼は、スリングの誤使用で発生する可能性が大きくなるようです。股関節脱臼を防ぐ基本は、赤ちゃんの下肢の動きを妨げないことです。つまり、下肢を充分曲げることや充分伸ばすこともできる状態が望ましいのです。
 スリングは使用方法によって、赤ちゃんの下肢の動きを妨げかねません。稀に、赤ちゃんの下肢の動きを妨げるような使用方法をしているカタログも見られるので、スリングの正しい使用方法が認知されているとはいえないでしょう。

 基本的に、赤ちゃんの下肢はM字になっているのが自然な状態です。同記事にも仙台赤十字病院の北純整形外科部長による抱き方の注意は記されていますが、福岡市立こども病院の藤井敏男副院長(整形外科医)も、「スリングを生後3ヶ月未満の赤ちゃんに使用するときには、赤ちゃんの股関節が開排位になるように母親のおなかをまたぐように股関節を広げる使用法をする必要がある」と述べています。

 また、スリングの使用だけに限らず、抱き方やおむつの当て方も股関節脱臼に影響してしまいます。

 医学博士の石田先生考案コアラ抱っこも赤ちゃんの下肢がM字になる抱き方で、スリングの使用にも勧められています。コアラ抱っこは対談「抱かれる子どもはよい子に育つ」(北極しろくま堂有限会社)に記されています。

 最近では、乳児(3〜4か月)の股関節脱臼の検診をしている病院や自治体も多く、視診や触診を行い、エコーやレントゲンでより確実な診断をしているところもあるようです。また、リーメンビューゲル法など治療方法もありますので、不安になりすぎることはないでしょう。
 赤ちゃんを持つパパとママは、赤ちゃんの下肢の動きも意識して子育てに励んでくださいね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2009/2/10 12:36:46
    元スリング愛好者でした!
    子どもとも不思議とスリングでコアラ抱っこすると泣き止むんですよね。使用法次第では脱臼するなんて初めて知りました。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2009/2/15 10:37:41
    スリングは赤ちゃんにとって子宮と似ている環境だから安心できるのだとか。
    泣き止むというのも関係しているんでしょうか。
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