教科書検定─決定を覆すことの陰で見過ごせない問題も
9月29日、宜野湾海浜公園に11万人が集結した沖縄県民大会以来、高校日本史教科書の「集団自決」の記述に関して、教科書検定で削除された内容を、来年度からの教科書に復活させようとする動きが強まっている。一方で、一旦、検定に合格した教科書を訂正することに対しては、検定を有名無実化するとの指摘もあり、微妙な問題をはらんでいるようだ。
文部科学省によると、小・中学校、高校の教科書検定は、国民の教育を受ける権利を保障するための、以下のような要請にこたえるために実施しているとのことだ。
- 全国的な教育水準の維持向上
- 教育の機会均等の保障
- 適正な教育内容の維持
- 教育の中立性の確保
ちなみに、日本では戦後までは、国が教科書を発行する国定教科書制度が長く続いていたが(※)、諸外国の教科書制度を見ると、韓国やタイなどでは国定教科書が使われている一方、英国やスウェーデンなど検定を行わない国もあり、さまざまだ。
教科書が適切に検定されれば、全国に同水準で内容の偏りのない教育を提供できるだろう。だが、一旦決定した検定結果を覆すことは、今回のように民意が反映される上では実りもあると言えそうだが、そうでない場合には、教科書に政治的介入を許す恐れもあり、「教育の中立性の確保」に不安を残すことになるかもしれない。
教科書検定制度の在り方に対して、文科省の教科用図書検定調査審議会で改善が検討されているが、こうした検定合格後に訂正を行う場合の問題点も、より深い審議によって改善し、安心して教育を受けられる環境が維持されることを願いたい。
※戦前でも義務教育開始当初は検定教科書が使用されていた。
- 小・中・高校教育に関すること(教科書)(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/main3_a2.htm - 教科書検定:集団自決問題 沖縄、11万人抗議大会 「強制」記述回復求め(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/edu/archive/news/2007/09/20070930ddm001010179000c.html - 「集団自決」検定、文科省が対応検討 沖縄県民大会受け(朝日新聞)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200710010382.html - “集団自決”修正、文科相「教科書各社の申請あれば対応」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071002i107.htm - 「教科書検定を有名無実化」沖縄自決記載で有識者批判(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/life/education/071003/edc0710030030000-n1.htm
この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
「沖縄では軍が民間人に集団自決を強要した」と当たり前に記載されてるし、発言しています。
思考を止めて「事なかれ主義」になってるのでしょうか?
企業の教育・社内報の作成、軍隊の教育・訓練、等々は当事者にとって死活問題です。
教科書検定も本来は死活問題であるべきと思いますが、当事者はどんな心理だったのでしょうか?
株式上場している企業では、消費者や株主や従業員などの視線、評価が意識され、誤れば追い出されるか倒産に至る。
検定にしろ採用決定にしても、その時の手柄だけで、万一、後から誤りが指摘されても罰則が無いのでは?
日本の「偉い人」って、立場が上には甘く、弱い人や部下には罪をかぶせる癖がある。
「検定通ったんだから修正するな」とゴネてるみたいですね。
「手続きを経ていたら何でも押し通す」偉いさんの頑固さには呆れます。
昔の大本営以上の頑固さですね。
こんな「偉いさん」の下で授業を受ける子供は不幸でしょうし、責任はとらずに手柄だけかっさらう「偉いさん」に国費が充てられるのも不愉快ですね。