7日、教育課程部会が検討していた「審議のまとめ(PDF)」が中央教育審議会において正式に決定、公表された。すでに10月30日にも報道されたように、小中学校の理科では、授業時数が大幅に増え、中学は89年改訂の指導要領を上回る時間数になるようだ。
「審議のまとめ」によると、次期指導要領の小中理科は、「授業時数増」「削除事項の復活」「言語力育成」の3点が特色となる。前二者については、以前の指導要領に戻るだけではないのかという批判も根強いところ。実際にそうなのか、文部科学省が公表している資料などから検証してみよう。
まず、授業時数については前述のとおり、小学校で16%、中学校で33%と大幅に増える。これに合わせて授業内容も全て元に戻してしまっては、前回に戻るだけという批判は免れないところだ。
この点、「審議のまとめ」のP.33によると、削除事項の復活は社会の変化や科学技術の進展にともなうものに限り、できるだけ観察や実験・レポートの作成などに増えた授業時数をあてるという。現在示されている 小中理科の改訂イメージ(PDF)をみると、「植物の乾留(小学校)」や「天気図の作成(中学校)」などの前回の削除事項は今回復活しないようだ。
そもそも、現行指導要領で内容を厳選した目的は、基本事項にしぼるかわりに、詰込み型の暗記によらない「自ら考える力」を養うことにあったはずだ。しかし、PISAや全国学力テストにおいて、日本の児童生徒の知識活用力不足は明らかとなっている。これからさらに具体化される新指導要領が、どれだけ児童生徒の知識活用力を育成するものになるかどうか注目したい。
なお、文科省は、今回の正式発表をうけ「審議のまとめ」について広く国民の意見を募っている。多くの現場の声が届けられ、指導要領改訂に生かされることを期待したい。
- 学習指導要領:中学の選択教科、存続含め検討へ−−中教審部会(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/edu/news/20071108ddm012100153000c.html - 新指導要領、原案を了承・中教審分科会、異論出ず(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071107AT1G0702307112007.html - 「ゆとり」転換を正式決定 改定指導要領で中教審(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007110701000363.html - 小中で理数・英語が大幅増―審議のまとめ(中教審)(きょういくじん会議)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070367
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- 名無しさん
- 2007/11/12 14:26:20
天気ほど生活に密着している単元もないと思いますので、きちんと科学的な知識も持っていた方が良いと思います。なので天気図の復活は大賛成!