現代教育科学 2005年7月号
「競争心」の導入は序列化を招くか

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現代教育科学 2005年7月号「競争心」の導入は序列化を招くか

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2005年6月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「競争心」の導入は序列化を招くか
提言・教育に必要な「競争」のあり方とは?
まともに関わり求め合う競い合いを
山下 政俊
競争のライバル心が個性を開かせる
明石 要一
競争の脱構築は可能か
桂 正孝
評価活動による「競争心」の組み換え
深澤 広明
教育における構成的競争の心理
長瀬 荘一
学級の中の「競争心」プラス面とマイナス面
個別の向上的変容のために「競争心」を活用すべし
熊谷 壽
やり方次第でプラスにもマイナスにもなる
高橋 恒久
プラス・マイナスは表裏一体、集団の質に左右される!
本宮 武憲
相対評価と絶対評価/競争と協奏
堀 裕嗣
「競争」は教師の指導力で大きく作用が変わる
向井 ひとみ
競い合いを生かす授業づくりのコツ
プラスベクトルを導入する
大谷 和明
できない子が伸びていく仕組みをつくる
吉田 高志
競い合いを生かす授業づくりの三原則
椿原 正和
互いに高め合える競い合いを
鵜木 毅
競い合いの中にも共有・協力を
山本 芳幸
「競争」する意欲の無い子―無力感にどう対応するか
特別支援教育の観点から子どもの無力感にどう応じるか
青山 新吾
強い指導で「自由と平等」な場を教師がつくりだす
水野 正司
これだけはしてはいけない「競争」とは
ゴール・チャンス・ルール~ビンゴからマッキーノへ~
佐内 信之
相手を非難する構造をもった競争
鈴木 智光
「競争」に負けた時の助言
力のあるエピソードを語る
漆山 仁志
有効な競争では、明確な評価基準を告げることが助言になる
赤石 賢司
教育ニュース・ズームアップ
1)小学校英語活動で児童などの意識調査 2)日本青少年研究所が高校生意識調査(下)
安達 拓二
「授業批評の力」を鍛える (第4回)
ケアリング・カリキュラム
齋藤 勉
授業を変える学習集団づくり (第4回)
学習の個人的性格と集団的性格の矛盾
柴田 義松
校長が学校を変える (第4回)
PTA活動が変わる
大森 修
TOSS授業技量検定受検のドラマ (第4回)
学ぶ姿勢、謙虚さを手本にする
吉川 廣二
続・TOSS授業技量の検定 (第4回)
斎藤喜博の授業(NHKテレビ放映)をTOSS技量検定にかける
向山 洋一
なぜ検定外・算数教科書を創ったか (第4回)
バラ数計算に向けて
横地 清
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

〇…「競争」をどうとらえるかは、実践のリアリティに関わる教師の思想の質を表す試金石だ、と『授業研究・重要用語三〇〇の基礎知識』にありました。その解説によりますと「競争」に対する教師の態度は「競争とは弱肉強食のそれであり、勝者と敗者はその結果に応じて支配―服従、あるいは優者―劣者の分配に預かり、然るべき待遇を受ける」と。だからこの種の非人間的競争から子どもを遠ざけたいと考えているはずの多くの教師が、子どもを相互に競い合わせるという方法を無自覚に日常的実践で駆使していると指摘しています。

〇…かつて「競争原理」は序列化をむりやり行おうとするやり方だ、と強く批判した研究者がおりました。(『競争原理を超えて』遠山啓著)。しかし、多くの現場では競争に対する批判的意識と日常実践における競争の活用とが無自覚に混在しているのではないかとする研究者の批判もあります。

〇…前記の解説の執筆者は、「何を」競うかによって競争の質は異なってくると提言し、第一に「結果」を競うのか、「過程」を競うかによって相違があり、第二に「協力」を競うという観点があり、班やグループを単位とした競争を意図すれば「ねうちの競い合い」を仕組むことになる。第三にねうちの競い合いの場面で、教師が絶えず評価活動を行うことが必要、と力説しています。

〇…競争は動機づけの手段として教育の中に安易に採り入れられているという研究者の指摘もあります。教師や親は競争に参加し勝ち抜くことを願い、子どもたちの尻を叩いて叱咤激励します。しかし、その前に子どもたちの「不安」を取り除くことも必要のようです。本号は教育に必要な「競争心」をめぐる問題点の解明を軸に特集しました。

〈江部 満〉

◯…本屋さんにはおびただしい量の教育雑誌が並んでいる。かつては研究者が執筆した「論文」が中心だったが、いつのまにかハウツー・マニュアルになった。単行本も「誰れでも出来る…」「…攻略法」といったタイトル。

 私はそれを非難するつもりはない。教育「技術」的側面があることも否定できない。重要なのは、マニュアル本に飛びつかざるを得ない教師の現実である。教師集団の教え合う関係が崩れ、荒廃したのは行政の請負人になった管理職の責任だ。

 ここまで読んで下さった方は「いったい書いたのは誰れ?」と思うでしょうね。

 実は、某国立大学大学院人間科学研究科教授。教授が行なった学校調査の結論は「教師は〝いい授業〟をすることで、その為にどんな条件を整えればいいのかが課題なのだ」とか。この結論、まさに税金のムダ使いの典型! 独立行政法人になったら通らない企画でしょう……。

〈樋口雅子〉

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