現代教育科学 2007年7月号
習熟度別指導の拡充で何が問われるか

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現代教育科学 2007年7月号習熟度別指導の拡充で何が問われるか

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2007年6月5日
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
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目次

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特集 習熟度別指導の拡充で何が問われるか
提言・習熟度別指導の問題点―「ゆとり」から「学力向上」へ
学力は「教え合い」「学び合い」で
長南 博昭
平素の授業過程の中でこそ本当の習慣化が図れる
大内 善一
学習活動の質を充実させる
齋藤 勉
習熟度別指導で心の差は縮まる
志水 廣
「子どもの側に立つ」学びの実現を
河野 順子
基礎学力強化のプラン―何が問題か
子どもにも必要な習熟度の認識
長瀬 荘一
単純反復を超えた基礎学力をどう育てるか
浅沼 茂
授業と家庭学習をリンクする
高階 玲治
基礎学力のレベルを問う必要がある
柴田 義松
共同思考の一斉授業は学力を保障しないか
一斉授業の中で豊かな学びは成立する
岩垣 攝
一斉授業を軸に学ぶ楽しさと学力保障を
佐藤 洋一
共同思考でしかできないことがある
長野 藤夫
習熟度別編成で「差別感」が生まれないか
習熟度で「分化」した授業を学級で「交流」する場面の必要
深澤 広明
「分かる」「できる」という事実を示すことで「差別感」は乗り越えられる
戸井 和彦
習熟度別編成は受け入れられる
堀 裕嗣
小学校における習熟度別指導の問題点
国語教室に「習熟度別学習」は成立するか
二瓶 弘行
97%の子が「よくわかった」という学校は『あかねこ計算スキル』で習熟度別指導に成功した
木村 重夫
特別支援教育の必要な子の存在から生ずる問題
松野 孝雄
差別感への配慮と下位の子への指導の難しさ
竹松 克昌
現場の実態を踏まえた上での議論が望まれる
吉谷 亮
中学校における習熟度別指導の問題点
「向山型」ならば、子どもたちの多様なニーズに対応した授業ができる
井上 好文
中学校数学科において「一律の硬直化した習熟度別授業」はやめるべきである
神原 一之
中高での習熟度別指導の成功の可否はここにある
大北 修一
問題は、教師が「指導法」と「授業力」に無関心であること
垣内 秀明
早急に、教師の授業の力量を上げなければならない
月安 裕美
人権教育時代の同和教育の実践 (第4回)
戦後同和教育の先駆的取り組みとは
桂 正孝
〜学校教育の民主的改革への貢献〜
教育再生に向けて (第4回)
「授業時数の十パーセント増加」には、矛盾がある
大森 修
論理的思考力の鍛え方 (第4回)
プリント「小論文のしあげかた」・「どちらがじょうずかな」
市毛 勝雄
人間力を育てる理科教育 (第4回)
科学の有益面を評価しない青少年が多い国…日本 科学技術系の職に就く希望のない生徒が多い国…日本
武村 重和
TOSS授業技量検定の成果 (第16回)
夜中まで仕事をする体力主義では力量はつかない
向山 洋一
教育行政をめぐる論争と問題点 (第4回)
「道徳の時間」特設の是非をめぐる対立
若井 彌一
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

○…安倍内閣の教育再生会議の第一次報告によると、当面の取り組み七つの提言の一つに「基礎学力強化プログラム」として、習熟度別指導の拡充を上げています。プログラムには、他に、授業時間数の10パーセント増加や薄すぎる教科書の改善、地域の実情に応じた学校選択制の導入なども提言しています。かつて本誌では(六年前)習熟度別学習システム導入の是非を論じていただく特集を組んだことがあります。そこでは賛否両論があり、特に「そのシステムが受験競争を激化させ、かつ低年齢化させて、学級内や学級間の生徒たちの連帯を困難にし、教師と生徒との間の信頼関係を破壊する力としてはたらくのではないか」とする危惧が目立っていました。

○…また、習熟度別指導の在り方に大きな抵抗があることは、子どもの内に「差別感」を生み出すのではないかとする心配も指摘されていました。そのために一斉授業をまず行い、その結果を見て分けるという方法も注目されていました。他に通常の授業のすべてに、全面的「習熟度別学習」を導入するとなると、加配教員が不足しているという意見もありました。

○…かつて文科省は「基礎学力の向上を図り、学校においてきめ細かな指導を充実する観点に立って、教科等の特性に応じ学級編成と異なる学習集団を編成して少人数指導を行う」ことを打ち出していました。ここで言う少人数指導のモデルは「習熟度別学習」のことでした。ここから学校での習熟度別指導、少人数指導を進めるために、学習内容と学習者についての教師の認識や能力が重要であると繰り返し指摘されるようになりました。「ゆとり教育の見直し」から教育再生の当面の取り組みの一つとして「習熟度別指導の拡充」が強調されています。本号はこの課題にしぼり、検討特集を試みました。

〈江部 満〉

○…「編集後記に、教育の場でこの問題を取り上げるときは、私は護憲という姿勢でいいのか―というのが最大の疑問≠ニあるように、掲載されている11本のほとんどが日本国憲法の理念を無視した実践案である」(『歴史地理教育』5月号)と、愛知教育大学の久保田貢准教授から、私・樋口が批判されました。この後記(『社会科教育』)〈護憲といいながら、天皇臨席の場を欠場する日本共産党は、象徴天皇制に対して違憲行為をしているのだし、宗教行為を禁止している憲法89条があるのに宗教法人が経営している私学に助成金を出すことは問わないで、靖国参拝が違憲行為だという、おかしさ〉と、事例をあげたところなど勿論、全面無視…で弾劾?されています。

 それにしても、「変えるな―という選択肢しか与えないって、強制・強要では?」「日の丸・君が代問題では、強制・強要が問題―との前言は取消し?」「守るだけで創るがない状況を教育といえるの?」とか、あれこれ疑問が湧いてきました。

〈樋口雅子〉

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