現代教育科学 2008年3月号
「道徳」の評価はなぜ難しいか

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現代教育科学 2008年3月号「道徳」の評価はなぜ難しいか

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2008年2月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「道徳」の評価はなぜ難しいか
提言・「道徳」の評価の問題点を衝く
「道徳」評価の問題点と可能性
新堀 通也
道徳は、子どもの「将来性」を考えて評価できるのか?
有田 和正
「道徳」の評価観の転換を!―子どもたちの自己評価を評価する
押谷 由夫
目標、教育課程、指導方法の視点からの問題点
中村 哲
温かい励ましの評価をすべきである
花田 修一
教育再生会議の「道徳」の教科化を検討する
修身科の功罪を踏まえた議論が必要
貝塚 茂樹
「道徳」を教科にしよう
齋藤 勉
自己と向き合う時間・空間(即効性を求める授業にあらず!)
宮川 八岐
対論:道徳教科化の是非
吉永 潤
「道徳」の時間は修身教育を越えたか
道徳授業の改善があって明言できる
向山 行雄
「道徳」は修身教育を越えなかった―今も越えていない
野口 芳宏
道徳教育の再生は修身教育の再吟味から
安藤 豊
現場からの提言・小学校「道徳」の評価―どこが問題か
「道徳」の評価はすべきことではない
大江 浩光
「道徳性」を評価しにくい
岡田 健治
子どもの「気持ちと行動」のギャップがつきまとう
勇 和代
道徳の評価は、心を評価することではない。ルール・モラルがわかっているかできているかを評価することである
河田 孝文
現場からの提言・中学校「道徳」の評価―どこが問題か
問題は「教師自身」にある
長野 藤夫
道徳の時間だけで評価を行うことができない。だから難しい
川神 正輝
長い目で見ていかなければ、正確な評価はくだせない
染谷 幸二
授業を活性化させるために評価し、授業外の諸活動で評定する
長谷川 博之
規律・規範意識を高める―「道徳」授業の基盤
三つの「い」を変える
山田 一
出来事や体験と道徳的価値を結ぶ
吉永 幸司
人権教育時代の同和教育の実践 (第12回)
人権・同和教育の推進と研修体制
桂 正孝
教育再生に向けて (第12回)
全国学力テスト調査結果分析が示さない「闇」
大森 修
論理的思考力の鍛え方 (第12回)
論理的文章の評価の授業
市毛 勝雄
人間力を育てる理科教育 (第12回)
新学習指導要領は、『イノベーションの教育』
武村 重和
TOSS授業技量検定の成果 (第24回)
授業の実力をつけるTOSS授業技量検定
向山 洋一
教育行政をめぐる論争と問題点 (第12回)
学校教育の宗教的中立性をめぐる混乱と展望
若井 彌一
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

○…中教審はこのほど小・中学校の「道徳」の教科化は見送る方針を固めたと新聞は報じています。安倍前首相の教育再生会議が「徳育」として教科化するよう提言し、扱いが注目されていましたが、「心の教育に何らかの評価」を伴う教科化は望ましくないと判断したようです。

○…現行学習指導要領で「道徳」は、数値評価を行う国語科などの教科とは別に、特別活動や「総合的な学習の時間」と同列に位置づけられています。しかし、指導内容が形式化して実効性がないことや高学年以降の児童・生徒が授業を軽視しがちなどの問題点がこれまで指摘されてきました。

○…「道徳」の時間が特設されてからすでに五十年を経過しようとしています。道徳教育は、道徳性の名において、規範意識の発達を固有の課題としてきたはずです。しかし、規範意識の発達とその規範意識の行為における表現にかかわって、道徳教育は広く人間的な知性と感性の発達をめざすものたらざるを得ない、とする研究者の声を無視することはできないでしょう。

○…教育再生会議では昨年六月の第二次報告で、規範意識の向上を目的に、「道徳」に代え「徳育」の新設を提言、数値評価を伴わない新たな教科と位置づけ、検定教科書導入も視野に教材を検討することを求めました。しかし、中教審と文科省は、現状では何らかの評価が必要な教科化は避けるべきだとの判断に傾いたようです。

○…これまでも「道徳」の評価は難しいとされており、指導によって児童・生徒がどのようにその時間のねらいに迫れたか、変容したかを理解し、次の時間の指導に生かしていくための評価であったようです。本号では、「道徳教育の再生」とかかわる「評価」の問題にしぼり、ご提言をお願いしたいと考えました。

(江部 満)


○…「みなさん資料集の83ページを見て下さい。昔は戦争に行くことに反対すると非国民≠ニ呼ばれたようなんだけど……」

 昨年暮れに参加した山形県社会科研究会での「6年 長く続いた戦争と人々のくらし」の中の子どもの発言です。

 この非国民≠ニいう文言、圧政下の遠い昔の日本でのこと、あるいは、王制、いや独裁者が支配している国、と思いがちです。

 しかし、今現在、まさにそういう空気が蔓延しているようです。

 たとえば、地球環境問題。

 温暖化など、地球の歴史からみれば誤差のうち(松井孝典先生など)、という意見はもはや危機を訴える多勢の前にはまさに非国民の意見≠ニ化していて、うっかり発言しようものなら何が飛んでくるやら…。

 沖縄では「軍命令はなかったという話をすると、非国民∴オいされる。だから本当のことは言えない」(元宜野湾市議の宮城氏)とか。

 非国民の対象が変わっても、人々を囲む状況は変わらない?ということでしょうか。

(樋口雅子)

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