現代教育科学 2011年1月号
「表現力の育成」どこに重点を置くか

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現代教育科学 2011年1月号「表現力の育成」どこに重点を置くか

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2010年12月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「表現力の育成」どこに重点を置くか
提言・なぜ「表現力の育成」が問題になるか
「思考・判断・表現」と表現力
田中 孝一
国語科と他教科で役割を分担する
難波 博孝
表現力が弱く育ちにくいから問題になる
有田 和正
表現力の根底にあるもの―表現意欲をいかに引き出すか―
井上 尚美
「習得」と「活用」をつなぐポイントとしての「表現力」の育成
吉崎 静夫
「表現力の育成」小学校での指導上の問題点
「表現力の育成」は小論文指導によって達成できる
市毛 勝雄
賑々しい表現活動に埋没しない
小森 茂
「表現力」育成を阻害する授業
二瓶 弘行
「表現力の育成」中学校での指導上の問題点
表現力の育成―指導上の問題点と改善点
長崎 伸仁
教科担任制の持つ問題の克服
植西 浩一
「技能」としての表現力から、「思考・判断」としての表現力へ
西田 拓郎
新評価の観点「思考・判断・表現力の能力」の生かし方
「思考・判断の能力」を評価する五つの視点―活用できるとは?
佐藤 洋一
表現の過程を評価しつつ指導する授業の創出
花田 修一
「出力」を意識する
長野 藤夫
「表現力の育成」国語科の実践課題
批評の時代
井関 義久
表現力育成のための重点項目
岩ア 淳
様々な課題を解決するために授業をどのように組み立てるか
松野 孝雄
「理解」、「表現」、「考える」ための方法を技術として―伝統的な言語文化(短歌)と物語の実践を通して―
白坂 洋一
「表現力の育成」社会科の実践課題
授業を変化させる。授業の中に「書く活動」をどれだけ組み入れられるか。表現力は、まず「書くこと」から始まる
甲本 卓司
市販テストの「縛り」をどうするか
吉田 高志
全体の見取り図を持った上で新しい技術にも目配りをすること
谷 和樹
「表現力の育成」算数科の実践課題
全員発表の場に追い込こみ、表現する活動に真剣さを促す
板倉 弘幸
評価の視点から、表現力の育成について考える
山本 良和
ステップを踏み、問題を解く「型」を教えてほめる
木村 重夫
「表現力の育成」理科の実践課題
単語ではなく文章で説明できるように
小森 栄治
「分かったこと・考えたこと・思ったこと」をたくさん書かせて表現力を育成する
新牧 賢三郎
表現力の育成には、個別評定を抜きに語ることはできない
小林 幸雄
書評
『戦後教育はなぜ紛糾したのか』(菱村幸彦著)
貝塚 茂樹
科学技術教育立国論 (第10回)
二〇一一年は世界化学年
小森 栄治
宗教教育における教師の責任 (第10回)
似非宗教に囚われないために
平野 久美子
新教授学理論に学ぶ (第10回)
「まなざし」の教授学
深澤 広明
不適格教員の問題 (第10回)
教えて―ほめる セルフ・エスティームを育てることこそ最も大切だと医師は言う
向山 洋一
道徳教育のこれからの課題 (第10回)
「他者」とのつながりを解体した戦後社会と教育
貝塚 茂樹
編集後記
江部 満樋口 雅子

編集後記

○…活用力の育成という意味から「思考・判断・表現」力の育成は、実践課題として重視されています。そのためには授業デザインの工夫が求められています。国語科の根本的重要性を認識せよと主張されている井上尚美氏(本誌二〇〇八年五月号)は、「思考力・判断力・表現力は、全教科、全学校生活の中で育成を図ることが要請される」としつつも、その中心となるのは国語科であり、抽象的思考能力の育成には言語能力が根底になくてはならぬからとしています。例えばとして、次の例をあげています。

○…「@観察・実験やレポート作成に際して、一定の視点から事象間の共通点や差異性に注目して記録・報告すること A比較・分類・関係づけなどの思考操作、また、仮説を立てて観察・実験を行い、その結果をまとめて説明すること」これらは社会、算数、理科などに必要な能力としながらも、これらは言語による思考の結果であり、国語科で培った学力がモノをいう、と力説されていました。有田和正氏も同じ特集で「表現力の育成に重点を置くと思考力・判断力も育つ」と主張されていました。

○…今回の指導要録の大きな変更点は、各教科における内容等に即しながら「思考・判断したことを表現する活動と一体化させて評価する観点を設けたことだ」と解説されています。そのためには、作文やレポート、記述式の問題など「言語表現力」の評価方法を工夫していく必要があるといえます。これからの授業では、知識・技能の「習得」と「活用」との関係を明確にしていく授業実践が求められているといえるようです。本号は、そのための課題提起の特集といえるものでしょう。

(江部 満)

○…「無縁社会」ということが言われます。その昔は、独身の男女がいたら、相手をみつくろいたがる?人や、仲人業のような人もいたと思うのですが、もはやそれも絶滅種―。それだけ、何事も自己責任の時代になったのでしょう。

 そういえば、ごく最近、生活綴り方の代表的作品「やまびこ学校」で有名な無着先生(もう、ご存知ない方が多いかも)のインタビュー記事を見ていたら、なんと、

 「生活綴り方は、プライバシーの侵害。今は、生活綴り方自体が成り立たない。個人情報ですから、すべて」

と発言をされていることを発見。

 たしかにーと思う反面、無縁社会の砂漠になるより、プライバシーをかなぐり捨てた?いえ、捨てざるをえなかった社会の、ある種の共同体づくりの手法を、どこかで取り戻しては?という提言があってもいいのでは?と思ったりしてしまいました。

(樋口雅子)

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